翻刻
【右丁頭書】
○富士(ふじ)あへ ねふか白根(しろね)ばかり
さつとゆでゝ胡麻(ごま)みそを入/豆(とう)ふ
の白あへにすもやし芋(いも)もよし
○蛸(たこ)なます たこのあしを薄(うす)
くきりにえ湯(ゆ)に入てすぐに
あげ大根(だいこん)をきざみ塩(しほ)にてもみ
しぼりごま酢(す)にてあへものにす
ごま多きがよし
【挿絵】
【左丁頭書】
○なのりそ ほんだはらの塩気(しほけ)
を出し湯煮(ゆに)をして唐(たう)がらし
みそにあへるほんだはらは青(あを)きが
よし黒(くろ)きはこはし
○たつくりあへ こまめを焼(やき)
直(すぐ)にあつき湯に漬(つけ)おき暫(しばら)く
して三枚にへぎ骨(ほね)と頭(かしら)を去(さり)
ごばうを煮(に)てたゝきこまか
にさき山椒(さんしやう)しやうゆにて二色(ふたいろ)
ともにあへる一日ほど置て用ゆ
べし醬油(しやうゆ)よくしむ也
○交趾(かうち)みそ 赤(あか)みそ五十匁
肉桂(にくけい)丁子(てうじ)の細末(さいまつ)半両(はんりやう)づゝまぜ茄(なす)
子(び)生姜(しやうが)の類を漬(つけ)る也/漬(つけ)るとき
白(しろ)ざたう五六匁入る七日めに用ゆ
○芋豆腐(いもどうふ) 湯(ゆ)どうふにして
ゆをしたみとろゝをかけるなり
【右丁本文】
また皮(かは)ごめに蒸(むし)て切(きり)いり塩(しほ)に漬(つけ)るもよし又
竹子(たけのこ)を根(ね)もとより切/箆(の)をぬき米糠(こめぬか)のよくふる
ひたるを内へつめ口を紙(かみ)にてはり三/本(ぼん)づゝ菰(こも)にま
き常(つね)に煙(けふり)のかゝる竈(かまど)のうへに釣(つり)おくべし色(いろ)かはら
ずして新(あらた)なるが如し
○鳥肉(とりのみ)を久しく貯る法
一/鳥肉(とりのみ)をおろしきらず一升に塩三合まぜて
鮓桶(すしをけ)にすしをつけるやうにしてきらずと
鳥肉(とりのみ)と段々(だん〳〵)につめ竹皮(たけのかは)をおほひ蓋(ぶた)にして
おとしぶたをしおしをかくべし久しくしても
味(あぢ)生肉(せいにく)にかはることなし
○林檎(りんご)をたくはふる方
一りんご百/顆(くわ)の内十/顆(くわ)をとりたゝき砕(くた)【「だ」濁点かすれにも見える】きて
【左丁本文】
水(みづ)を入れつぼの内に浸(ひた)し満(みつ)るをうかゞひよく
口を封(ふう)じおくべし
○冬瓜(かもうり)をたくはふる方
一/冬瓜(かもうり)は棚(たな)の上/或(あるひ)は煤(すゝ)のゆく処に収(をさむ)れば翌夏(よくなつ)
まで損(そん)ぜず但(たゞ)し疵(きず)なきをえらぶべし
○牛旁(ごばう)山葵(わさび)土筆(つく〴〵し)など貯る法
一/河原(かはら)のじやり小石(こいし)なきやうに能(よく)をふるひて
水道(すいだう)の溝砂(みぞすな)を日(ひ)に乾(ほ)しもみくだきわら灰(ばひ)
等分(とうぶん)にまじへ地(ち)に穴(あな)を掘(ほり)右の砂(すな)をいれ牛旁(ごばう)
わさび土筆(つく〳〵し)蕗(ふき)のとういも栗(くり)生姜(しやうが)の類(るい)を
いけおけばしをれずして久しくもつものなり
但(たゞ)し蕗(ふき)のとうは一二日/陰干(かげぼし)にしていけるなり
土筆(つく〴〵し)は根付(ねつき)を五ッほどづゝ根(ね)をまきてまひ込(こみ)の
【枠外丁数】百四十一