翻刻
【右丁頭書】
炭火(すみび)にてねりつめ中ほどにて
しる飴(あめ)三百八拾匁入れてねり
つまりて上る時/芡実(けんじつ)十五匁/蓮肉(れんにく)
十五匁/薏苡仁(よくいにん)二十匁/山薬(さんやく)二十五匁
四/味(み)粉(こ)にして入れ又ねりあはせ
求肥(きうひ)のごとく箱(はこ)へうつしてさまし
五六日も過て右の粉(こ)をふきん
にてふき取て湿(しめり)のある所へ砂糖(さたう)
をつけてよきほどに切て風(かぜ)を
ひかぬやうに箱(はこ)へいれおけばいつ
までももつ也
○餡(あん)の製法(せいほう) 極上(ごくじやう)の小豆(あづき)を
煮(に)て雷盆(すりばち)にてすりこまかなる
篩(ふるひ)にて漉(こ)し少しゐさせおき木綿(もめん)
の布(ぬの)へ少しづゝいれかたくしぼり
餡(あん)のしぼり粉(こ)百目に白砂糖(しろさたう)百匁
水五十匁何ほどにても右の割(わり)にて
【左丁頭書】
せんず砂糖(さたう)のあかのさりやうは
よき山(やま)の芋(いも)の皮(かは)をさりて少し
ばかり砂糖(さたう)へおろし入れよく掻(かき)
合せ水をいれせんじにえ立て
しばしおけば砂糖(さたう)のあか残(のこ)らず
かたまりて上にうく其時あみ
杓子(しやくし)にてすくひさればきれいに
とれるなりそれを布(ぬの)にてこし
せんじつめ塩(しほ)を合せこし粉(こ)を
入れよきほどの堅(かた)さに煉(ねり)つめ
てたくはへ置也これ極製(ごくせい)なり
○砂糖蜜(さたうみつ)の製法(せいほう)
大白(たいはく)のさたう壱貫目山の芋(いも)
皮(かは)をさりて二百目おろし砂糖(さたう)に
よくまぜ合(あは)せ水四百五拾匁を
少しづゝ入れ砂糖(さたう)をときせんじ
にえ立て火(ひ)を引(ひき)しばしおけば
【右丁本文】
右塩と水とを合(あは)せ煎(せん)じさまし置さて
小麦(こむぎ)と大豆(まめ)とをあはせ日影(ひかげ)におき毎日(まいにち)〳〵
かきまはすべし
○柚(ゆ)べしの方
一/柚(ゆ)《割書:皮をさり実|ばかり十》胡麻(ごま)《割書:二合|》味噌(みそ)《割書:五合|》餅米(もちごめ)
の粉《割書:二合但し乾飯(ほしいひ)なれば| いよ〳〵よし》番椒(たうがらし)《割書:少|》
右一所にすり合せ柚(ゆ)の皮(かは)へつめてよくむし
其後(そのゝち)その中に胡桃(くるみ)かやの類をも入るべし
但し柚(ゆ)の裏(うち)の皮(かは)をさるべし
○越瓜(しろうり)を青(あを)きながら貯ふる法
一/赤土(あかつち)一斗に塩(しほ)六升五合あはせ越瓜(しろうり)を二ッ
にわりて中をよくさらへ右の土(つち)にてつけ
おくべし翌年(よくねん)まで色(いろ)かはる事なし
【左丁本文】
○奈良漬(ならづけ)の方
一/白瓜(しろうり)を二ッにわりて実(み)をさり能(よく)ふきて
瓜(うり)の中へ塩(しほ)半分(はんぶん)もりその上に粕(かす)をぬり
つけ桶(をけ)へ入れおく也/但(たゞし)あたり合ぬくらゐに
すべし
○丸山(まるやま)ひしほの方
一/小麦(こむぎ)《割書:四合|》黒大豆(くろまめ)《割書:六合|》いづれも炒(いり)て引わり
むして糀(かうじ)むろへ入れ花(はな)をつけ三合/塩(しほ)に
あはせ常(つね)のかうじを水にて洗(あら)ひそのあらひ汁
にてかたくこねてねさすべし急(きふ)に味(あぢ)を付る
にはしこみたる桶(をけ)に蒲団(ふとん)をかけ昼(ひる)は日あたり
へ出ししば〳〵かきまぜれは五六日の中に能(よき)
味(あぢは)ひとなる也又/大豆(まめ)の粉(こ)を右の大豆(まめ)にふり
【枠外丁数】百五十終