翻刻!江戸の医療と養生

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広益秘事大全 3巻. [5] - 翻刻

広益秘事大全 3巻. [5] - ページ 5

ページ: 5

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【右丁頭書】 省(はぶ)けるは質朴(しつぼく)の風(ふう)を変(へん)せずして 倹素(けんそ)長久(ちやうきう)ならしめんとてなり 然(しか)れども又/便利(べんり)につきては当世(たうせい) にしては止(やむ)べからざる物をも出して 市(いち)に買(か)ひ遠(とほ)きに求(もと)むる費(つひえ)を略(はぶ) かんとす  ◦野菜(やさい)の類 ○若菜(わかな) からしを吸口(すひくち)にして 汁(しる)にし或(あるひ)は塩鯨(しほくじら)油(あぶら)あげなどに合せ て平(ひら)にして用ゆ雑煮(ざふに)の上(あは)おきに 殊(こと)によろしゆでゝからしあへにし 又はごまをふりてひたし物にもよし ○水菜(みづな) 汁にしてからし柚(ゆ)など 吸口(すひくち)に入てよしかつをゝかけ身鯨(みぐじら) を入て平(ひら)に用ゆ油(あぶら)あけもよし ひたし物にはごまからしなどかけてよし 又/浅漬(あさづけ)にしてはぎれよく上品(じやうひん)なり 【左丁頭書】 ○嫁菜( よめな) ひたし物にしてよし 汁(しる)は芽(め)うどの吸口(すひくち)なとにてよろし 上品なる味(あぢは)ひあり ○蒲公英(たんほゝ) ゆでゝあくを出し ひたし物にしてよし干大根(ほしだいこん)の薄(うす)く へぎたるを入て酢醬油(すしやうゆ)をかけて 用ゆ土筆(つく〴〵し)を入たるもよし ○とう菜(な) 花(はな)の咲(さき)かけたる 菜(な)の事なり当分漬(たうぶんづけ)にしてよし からしあへにしてもよろし但(たゞ)し積気(しやくき) ある人/多(おほ)くくらへば殊外にあたる なり用捨(ようしや)すべし ○ちさ 此(この)菜(さい)殊(こと)に長(なが)くありて 大に重宝(ちやうほう)なる物なりからし唐(たう)がら しなど吸口(すひくち)にして汁(しる)にするよし又 ゆでゝひたし物にし或は魚肉(ぎににく)【注】にまぜ てなますにも用ゆ煮(に)て平(ひら)にし 【注 振り仮名は「ぎよにく」の誤ヵ】 【右丁本文】 便(べん)よろし干鰯(ほしか)は砕(くだ)き粉(こ)にして水にいれくさ らして用るよしいたむ草木(さうもく)に用て大によろし 魚(うを)の料理(れうり)のあらひ汁(しる)を五六日ため置てかくる もよし乾(かわ)きたる地には米泔水(しろみづ)あらひ汁/水肥(みづごえ)な ど殊(こと)によろし干鰯(ほしか)油糟(あふらかす)等のつよき肥(こやし)は石砂(いしすな) 多(おほ)く乾(かわ)きたるには悪(わろ)し植物(うゑもの)もえて枯(かる)る事 ありすべて肥(こえ)たる地(ち)には多く肥(こやし)を入ては却(かへつ)て わろし能々(よく〳〵)心得(こゝろえ)おくべし灰(はひ)は人糞(にんふん)にあはせ ねさせ置て瓜(うり)茄子(なすび)麦(むぎ)粟(あは)黍(きび)稗(ひえ)等(とう)のこやしに 用ゆ酒糟(さけのかす)は籾糠(もみぬか)に切(きり)まぜ丸(まる)めて貯(たくは)へ置水にとき て人糞(にんふん)にあはせ水田(みづた)に入てよし蔓草(つるくさ)などに用ひ てよく繁茂(はんも)す油糟(あぶらかす)は草木の葉(は)の光沢(つや)を出し てよろし秋冬(あきふゆ)用ゆべし馬糞(ばふん)は寒(かん)にいたむ物に 【左丁本文】 よろし暑気(しよき)を厭(いと)ふ物にも根廻(ねまは)りに入べし馬(むまの) 尿(せうべん)は少(すこ)しづ ゝ諸草(しよさう)に用ゆよくきく物なり獣(けものゝ) 肉(にく)の類は菓物(なるもの)の根廻(ねまは)りに用ひてよし此外/鳥(とりの) 類の糞(ふん)諸穀(しよこく)の粃糠(ぬか)などいづれも少しづゝ差別(しやべつ) あり心して用ふべし  ○接木(つぎき)の事 接砧(つぎだい)の木は三四/歳(さい)より六七/歳(さい)までの木よろし 勢(いきほ)ひよくこせぬ木を撰(えら)びて接(つぐ)べし大木へつぐ 時は枝(えだ)の勢(いきほ)ひよき所を残(のこ)し外の枝(えだ)は皆(みな)截(きり)すて その残したる枝へつぐ也又/砧樹(たいき)を抜(ぬき)てつぐときは 長(なが)き根(ね)を切( きる)がよし接梢(つぎほ)は去年(きよねん)のびたるを今年(ことし) つぐ也勢ひよくのびたるを切べしよわき木は 接梢(つぎほ)の枯(かれ)ぬやうに藁(わら)にてかこひ風(かぜ)のあたらぬ様(やう)に 【枠外丁数】百十三