翻刻
【右丁頭書】
暑中(しよちう)のふろふきは冷(ひや)して味噌(みそ)
をかくべし煮(に)てくふは常(つね)の事也
○南瓜(なんきん)【左ルビ ぼうふら】 汁とうがらしの吸口(すひくち)
にてよし煮(に)しめには実(み)をよく〳〵
とりて入べし下品(げひん)なる物なり
あんかけふろふきにもするなり
○青大角豆(あをさゝげ) ゆでゝ山椒醬油(さんしやう〳〵ゆ)
のひたし物にする通例(つうれい)也みそあへ
にし又/煮(に)てもよし
○隠元豆(いんげんまめ) 江戸に藤豆(ふじまめ)といひ
西国に垣豆(かきまめ)といふ白(しら)あへごまあへ
共に上品なり煮(に)しめに入て尤(もつとも)
よし実(み)の入過たるは品(しな)くだれり
○さつま芋(いも) 煮(に)たるは下/品(ひん)なり
すりてうす葛(くず)のかはりに物をい
りたるよしさいの目(め)に切て煮込(にごみ)
へいれたるはよし油(あぶら)あげにし又
【左丁頭書】
風呂(ふろ)ふき茶(ちや)わんむしにもす
べしあへものにしても用ゆ女中(ぢよちう)
むきの物にて人により用捨(ようしや)ある
べし
○さと芋(いも) 大坂(おほさか)には芋蛸汁(いもたこじる)
とて蛸(たこ)にいれて汁にする事有
煮(に)て牛蒡(ごばう)ねぶかなどゝ同じく
平にもつかふにしめのつべいなど
いろ〳〵あり
○唐(たう)の芋(いも) 茎(くき)の赤(あか)き芋なり
茎(くき)をほしてずいきとす生(なま)にて
酢醬油(すしやうゆ)のひたし物にしごまをか
けてよし芋(いも)は里(さと)いもの如(ごと)くに
してゑぐからず子すくなし用
ひかたはさといもに同じ又ずいき
を汁にして柚(ゆ)からしなど吸口(すひくち)にして
よし油(あぶら)あけと一所に煮(に)るもよし
【右丁本文】
【挿絵】
さすがよし今年(ことし)の新枝(わかえ)をさすには葉(は)のくきか
たまりてさすべし長(なが)さは二三寸/位(ぐらゐ)にきり葉(は)をば
二三/枚(まい)残(のこ)して跡(あと)ははさみ捨(すて)もとの方に赤土(あかつち)のね
ばきを団子(だんご)の如(ごと)くしてさして植(うゝ)る也/是(これ)通例(つうれい)也
堅(かた)き木はもとを割(わり)て中に小石(こいし)をはさみてさす
また山椒(さんしやう)の実(み)をはさむもよし切口(きりくち)の四五/歩(ぶ)も
【左丁本文】
ある枝は一枝(ひとえだ)おきて跡(あと)は残(のこ)らず切すてゝさす也
切口は小刀(こがたな)にてよく削(けづ)りてよしさす地は赤土(あかつち)の
しめりたる日陰(ひかげ)の所よし鉢(はち)へさすにも赤土(あかつち)を入て
さす何(いづ)れも度々(たび〳〵)水(みづ)をそゝぐべしよく生付(はえつき)て
後に植(うゑ)かへてよろし又とり木とて枝(えだ)を引たわ
めて其枝(そのえだ)に疵(きず)をつけ糞(こやし)《割書:牛馬鳥の|糞よし》に土をまぜて
土をほり其枝に右の土ごえをつけて埋(うづ)めおき土(つち)乾(かわ)
けば水或はうすごえをそゝぎて乾(かわ)かぬやうにし
よくつきて後(のち)に枝(えだ)をきる也/高(たか)き枝をは疵(きず)をつ
けて竹(たけ)を一節(ひとふし)筒(つゝ)にきりて二ッにわり疵(きず)の処へ
土をつけて竹(たけ)にてあはせ其上を縄(なは)にてまき土の
かわかぬやうに苔(こけ)をつけて度々水をそゝぐべし
根(ね)の生(しやう)じたる比(ころ)を考(かんが)へて半分(はんぶん)づゝ切(きり)て二度に切(きり)
【枠外丁数】百十七丁