翻刻
【右丁頭書】
却(かへつ)て害(がい)となる事多し此(この)巻(まき)の
末(すゑ)に飲食(いんしよく)の事を出すが故に
聊(いさゝか)そのあらましを余紙(よし)に記(しる)し
て老人(らうじん)小児(せうに)などの為(ため)にす
○凡(およそ)常(つね)の飲食(いんしよく)は淡味(たんみ)なる野(や)
菜(さい)の類(るい)を用ひて養(やしな)ふべし貴(き)
賤(せん)となく老少(らうせう)となく唯(たゞ)身命(しんめい)
を養(やしな)ふものぞといふ事を忘(わす)れ
ず飢(うゑ)ざるを限(かぎり)として止(やむ)べし美味(びみ)
を好(この)み魚鳥(ぎよてう)酒餅(しゆへい)を大食(たいしよく)し
手足(てあし)をはたらかざれば病(やまひ)多く
して必(かならす)短命(たんめい)なりされども脾胃(ひゐ)
よわき人はをり〳〵魚鳥(ぎよてう)を用ひて
そのよわきを助(たす)くべし一度(いちど)に多
く食(しよく)すべからず
○血気(けつき)盛(さかん)なる人/魚鳥(きよてう)酒餅(しゆへい)を
飽(あく)まで食(くら)ひ酒(さけ)を過飲(くわいん)すれば
【左丁頭書】
脾胃(ひゐ)を充満(じうまん)せしめ皮肉(ひにく)もこえ
ふとるをよき事のやうに思へども
養生(やうじやう)の道(みち)には大にわろしたとへば
肥(こえ)たる地(ぢ)に糞汁(ふんじう)を沃(そゝ)ぎ過(すぐ)れば
草木(さうもく)のたけのび枝葉(えだは)盛(さかん)なれ
ども却(かへつ)て根入(ねいり)あさく風雨(ふうう)に
堪(たへ)ず実(み)を結(むす)ぶ事も少(すくな)きが如し
魚(うを)鳥(とり)酒(さけ)の精(せい)にてこやし過(すぐ)れば
【挿絵】
【右丁本文】
一 山椒(さんしやう)を漬(つけ)る法 百卅八丁
一 蜜柑(みかん)を夏まで貯(たくは)ふる法
一 梨子(なし)をたくはふる法
一 柿子(かき)をたくはふる法
一 松茸(まつたけ)のたくはへやう 百卅九丁
一 青柚(あをゆ)のたくはへやう
一 塩辛(しほから)の味(あぢ)かはらざる法 百四十丁
一 筍(たけのこ)を貯(たくは)ふる法
一 鳥肉(とりのみ)を久(ひさ)しく貯(たくはふ)る法
一 林檎(りんご)をたくはふる法
一 冬瓜(かもうり)をたくはふる法 百四十一丁
一 牛蒡(ごばう)山葵(わさび)土筆(つく〴〵し)など貯る法
一 蓴菜(じゆんさい)海松(みる)をたくはふる法
【左丁本文】
一 葡萄(ぶどう)のたくはへやう
一 甜瓜(まぐはうり)を貯(たくは)ふる法
一 蕨(わらび)をたくはふる法 百四十二丁
一 瓜(うり)のたくはへやう
一 梅(むめ)柚(ゆ)柿(かき)梨(なし)のたくはへ様一方
一 青小角豆(あをさゝげ)の漬(つけ)やう 百四十三丁
一 金柑(きんかん)をたくはふる法
一 茄子(なすび)梨子(なし)を貯ふる法
一 干瓜(ほしうり)の仕やう
一 青柚(あをゆ)のたくはへ様一方
一 鰹節(かつをぶし)のたくはへやう 百四十四丁
一 暑中(しよちう)魚肉(うをのみ)をたくはふる法
一 桃(もゝ)をたくはふる法
【枠外丁数】目十八