翻刻
【右丁頭書】
悪(あし)きとなり凶(あし)きもよくなる
事あれば唯(たゞ)ふかく慎(つゝし)みて信心(しん〴〵)
して怠(おこた)るべからず然(しか)らばたとひ
凶(あし)き卦(け)に中りたるも吉くなる
べき事/疑(うたが)ひなし
○八卦(はつけ)のくりやう
八卦のくりやう色々ありといへ
ども道具(たうぐ)のなき所にては心易(しんえき)の
法をよしとすその見やうは先(まづ)
占(うらな)はんとする時の年月(としつき)日時(ひとき)の
すべての数(かす)を合せて八にて払(はら)ひ
その残(のこ)る数を卦(け)の数にあてゝ
見るなりたとへば子(ね)の年二月
十五日六ッ時に占(うらな)ふならば子の
年一ッ《割書:年はえとの数にて|子一ッ丑二ッと定むべし》二月二ッ
十五日十五六ッ時六ッ合せて廿
【左丁頭書】
四あるを三八(さんはち)二十四とする時は一ッ
あまる是/乾(けん)の卦(け)なりとしるべし
八の数に余(あまり)なきは坤(こん)の卦(け)なり扨
その卦(け)の下にて其(その)占(うらな)ふ事をくり
出して見るべし八卦(はつけ)の名は次(つぎ)にいふが
ごとし
【挿絵】
【右丁本文】
○新(あたら)しき刃物(はもの)を古(ふる)びさする法
一 新(あたら)しき小刀(こがたな)の表(おもて)に鼠(ねずみ)の糞(ふん)をぬり醋(す)を入
たる桶(をけ)のうへにわたし一夜(いちや)醋(す)の気(き)をうけし
めて後/削(けづ)りされば古刀(こたう)のごとし
○錫(すゞ)の器(うつは)くもりたるを磨(みが)く法
一 錫(すゞ)の道具(だうぐ)くもりたるは砥(と)の粉(こ)又/石灰(いしばひ)にて
みがくべし又/古(ふる)き木綿(もめん)ぎれにてみがくもよし
○器物(うつはもの)のわれたるを跡(あと)なくつぐ法
一 塗物(ぬりもの)の木具(きぐ)又は磁器(やきもの)にてもわれたるをつ
ぐには汞粉(はらや)を小麦(こむぎ)の粉(こ)にくはへ鶏卵(たまご)の白(しろ)み
にてねり合せてつぐべし跡(あと)なくして永(なが)く
はなれず
○瓦石(ぐわせき)の類(るい)継(つぎ)てはなれざる法
【左丁本文】
一 楡(にれ)の木の白皮(しらかは)をとり湿(しめ)し搗(つき)て糊(のり)の如く
なし石瓦(いしかはら)のたぐひをつげばきはめて強(つよ)く
してはなれず硯石(すゞりいし)石灯籠(いしどうろ)などをつぐ
にも甚(はなはゞ)よろし
○漆(うるし)ぬり物かけたるを繕(つくろ)ふ法
一 古(ふる)き布(ぬの)ぎれを細(こま)かに剉(きざ)み漆(うるし)によくまぜ合
せたるを以てつぎ合せよく乾(かわ)きたる時/継(つぎ)
目(め)より出たる漆(うるし)を小刀にてこそげ取こくそを
かひ又/乾(かわか)して木賊(とくさ)にてみがきその上を漆(うるし)に
てぬるべし色(いろ)は好(このみ)にしたがひ漆にあはせて
ぬるなり
○青梅(あをむめ)を久しく貯(たくは)ふる法
一 青梅(あをむめ)の枝(えだ)を折(をり)葉(は)も実(み)も藁(わら)にてぐる〳〵
【枠外丁数】四