翻刻
【右丁】
しめて先(まづ)其(その)用(よう)ある事を諸書(しよ〳〵)の中(うち)より抄出(せうしゆつ)せしめてかく乱雑(みだりがは)
しき冊(ふみ)となしぬ抑(そも〳〵)雑書(ざつしよ)と称(しやう)する物/世(よ)に多(おほ)しといへども大抵(たいてい)無(む)
益(えき)の事を記(しる)して多(おほ)くは成得(なしえ)がたく却(かへつ)て民俗(みんぞく)の害(がい)となりて
迷(まよ)ひを層(かさ)ぬること尟(すくな)【尠は俗字】からず予(よ)既(すで)に此(この)弊(へい)を識(しる)が故(ゆゑ)に清(きよ)く其(その)
害(がい)を改(あらた)めて有益(うえき)の事ならぬをば記(しる)さず奢侈(おごり)を略(はぶ)き惑(まどひ)を
醒(さま)し農工(のうこう)の職業(しよくげふ)貧家(ひんか)の女工(ちよこう)に用(よう)あらん事をのみ考(かんが)へて記(しる)
したれば聊(いさゝか)済生救民(さいせいきうみん)の一端(かたはし)ともなるべき歟(か)希(こひねがは)くは
四方(しはう)の君子(くんし)予(よ)が拙陋(せつろう)を笑(わら)ふこと勿(なか)れと云(いふ)
嘉永四年辛亥秋九月 浪華市隠三松館主人識
【左丁】
【上段 挿絵】
【下段】
民家日用(みんかにちよう)公益秘事大全(くわうえきひじだいぜん)総目録(さうもくろく)
○奇巧妙術類(きこうめうじゆつるい)第一(だいいち)
一/書物(しよもつ)を虫(むし)のはまざる法(はふ) 一丁
一/書物(しよもつ)の潮(しほ)につかりたるを直(なほ)す法
一/水草(みづくさ)を久しく活(いけ)おく法 二丁
一/銀箔(ぎんはく)の色(いろ)かはらぬ押(おし)やう
一/毛(け)の類(るい)を染(そむ)る法
一/銅器(どうき)のさびたるを洗(あら)はずして落(おと)す法
一/暑中(しよちう)食物(しよくもつ)の貯(たくは)へやう 三丁
一/新(あたら)しき刃物(はもの)を古(ふる)びさする法
一/錫(すゞ)の器(うつは)くもりたるを磨(みが)く法
一/器物(うつはもの)のわれたるを跡(あと)なくつぐ法
一/瓦石(ぐわせき)の類(るい)継(つぎ)てはなれざる法