翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 12

ページ: 12

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中物渡すそと堅く約して猟舟七艘に食酒なと 積入六月十日の巳之刻に一度にとつと押出し彼舟を 目にかけて只一時にと押す程に今一里にもたらさる にいかなる神のとかめにや今迄晴天に有ける気色の 俄に替りて空かき曇り西風砂を立て吹出す 猟舟の者共いひけるはあら笑止や是は此所の/出(タ)し 風なり此らにてはあの船を引事は扨置我々共に危し 兎角ならなひといふ程こそ有けれ/櫓櫂梶(ロ カイカヂ)を立直し もとの湊へ漕戻るさなから夢の心地して汀へ上り只 茫然とあきれたり兎角するうちに彼船もはや見えす 成にけり今は力なし仏神にも放されぬる上は今はゝや 思ひきり是より大畑へ戻りて水主諸共に急き国に のほり親子あひせめてハうきを語らふ迄とおもひ すまして其夜はそこにそ留りける翌日供の水主かいふ やう誠にの給ふことく今ははや運尽弓の力もをれ やる方もなき事なれとあまり本意なき事なるに 今一両日は/慕(シタ)ひ給へかし路次の難儀は私よきにいた はり申さむといふさては/己(オノレ)も/左(サ)おもふかやしからは