翻刻
近浦の者共寄て流れ行を少々取上たりといへは御法に
まかせ渡すに請取らすして/細(コマ)かしき事いふそ此うへは
兎角にしらぬそ藤七今はや来るなといふて聞入す其後は
留守をつかふて不取合扨老中に/奈山(ナヤマ)八左衛門殿秋本忠兵衛殿とて
あり此両人方へ出て先日金浜へ着申す船こそ私船にて候か
/無事(ブジ)着たるを金浜平次五郎を始め皆見られし事は
明白なり然れは御法事とて是に御留候内にあの如く
切取候せめて/釘(クキ)/鉄羽(カスカイ)/計(ハカリ)の御詮義をなし被下候者此所
の雑用に仕早々帰り申度旨首をさけ涙くみて
そ申ける両人のいへるは不便の者の/言(イヒ)やうかな去なから
船の事ハ船奉行にいへよわれ〳〵はしらすといひて碁
をうちて取あはす其時我/膝(ヒザ)/押直(ヲシナヲ)しのひ上り何と
候あの如くなる押領をさせて不知との給ふか/主(ヌシ)を押
■【旧?】船を切取事は唐国は不知恐らくハ日本には候はし
是非ともにしり不給はいつく迄も申て見るへし然は
御為もよろしかるましと/怒(イカ)り声にて申けり両人大に
腹立し碁盤/押退(ヲシノケ)扨推参成船頭そ何を見付
て横領とは也其上不聞はいつく迄も行へきとは定て