翻刻
けれとそれハともあれ若申あやまりて湯共水とも
ならハなれ我もはや今年二十七歳なり今こそ百年
めに更にうらみハ残るましと一途に思ひ定めけり
去程に細工も漸はか行て船共を川にうかへ材木積入
梶に碇に綱よといひて用意したり其時水主共を呼て
いかに面々よ我も一所に上るへきか面々もしることく
上方にてハ船■■る事もならす是より津軽へ
越て十三の宿を頼ミ亦以前の知人に云て合力を得
小船成とも造り度思ふ故にかしこに行は汝等よき日
和にのほり親一同にも其通を申へし頓て此十月比にハ
心のほりて逢へしと語る内にも思ふやう我今度江戸
にて若命殺されなハあの二人の弟共に今か別れ
ならんそれ親子兄弟のしたしき事ハ滄海より
も深しとかやたま〳〵人間と生れて親兄弟の成
の果をも見届すして所々の死をなし父母に
恨ミ■れん事何より心うけれされは仏のくふ
とつくた■■く愛別離苦共説れたり嗚呼我な
からも不孝者かな去なから亦是も労して不快の