翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 22

ページ: 22

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をは記すに暇も有明の月の最中を捨て行我をは 月みぬ里に住候とも人は岩間の苔むしろしきしま 影を見わたせは漕並へたる海士小船ゆらるゝ浪の あら磯の浜さしすきて行程に物冷しきあはら屋 に何を頼みに/有畠(アリハタケ)高根に上り見渡せはかつふう也 /外(ソト)の浜岩木山七ツ嵩北に見えたる川内の山峯より立煙 の風に横切立上るをみておかしき口すさみをそしたりける 「いささらは思ひくらへてみちのくの胸の煙は我もおとらし かくいふて行程に其日は横浜に着にける日も西山に入れはそこ に一夜をすきの窓しろ〳〵と明/る(ル)八戸の鳥の音と諸友に出立て 行程に野分の空の朝霧に山の姿も見えわかす心細くも 行/程(ミチ)の七の/戸(ヘイ)を打過しはしか程は来る人もつゞき調子 みえわかす/清水(シミツ)坂をも打越て見れは程なき五の戸也あら 恐ろしき此道は茶屋とてもなしいつくに立寄へき隙もなし 誠にたつ木もしらぬ山中におほつかなき小村有立寄て去る 家に入此辺の事共を問ひしに亭主いひけるは朝不_レ見と いへり昔此盛岡/通(カヨ)ひの商人此所に泊しか宿の亭主打殺 し其雑物を/剥(ハキ)取し也されは宵に泊りしものゝ朝行姿なし