翻刻
色つきて今初鳫もかうり山猶行末の善悪を何とかきくの
花■や情もしらぬ其宿の人の心は■柳宿の御方か顔
くせハあれさひとての宿とかや覚ははや仙台の内とや
爰社伊達の大木戸に其名を得たる高綱のせ先陣の手柄
の跡今にかくれも中々にかたく思ハヽ石川屋我其宿に
旅寝して宿に心を金崎の水沢にして沢辺宿不思議
の縁に奥州の衣川とハ是とかやされハ国本にて聞及し
古跡なれハ川のほとりを見廻すに渕に真菰も生て砂川
なり三十間余の土橋あり橋を■らふかやまてしハしみれハ
浅くもみゆるやむかしの事のなつかしさにもすそをからけ
其まま川をハ渡る水はすくなけれと中〳〵す川にてよほと
濡たり中の瀬に上り先すそをしほりて休らひむかし
軍に武蔵坊しのふか矢に中りて立なから三十八の卯月の
浪と消られしハ爰のほとか彼かと上下一二三へん是里
廻りて兎角して此方へこそ其比三十余りの女一人なたら
かなるか川端に塵うち払ひて居たりしに立寄爰の
事を問ふに女のいひけるはされは此所ハいにしへ名将
の住所なれハ中〳〵見所多しとかや女なれハ細かにハ知