翻刻
移し/難波(ナンバ)方より日々に/潮(ウシホ)を汲ませ六条河原をは
千賀のうらはと号し籬か嶋をかたとり池辺に
うしほをよよくませ小原醍醐の奥より日々に塩木
をはこはせ河原の陰にて塩をやかせ/周茂叔(シウモ シク)の菊
を愛せしむかしにも■■【趣く?】一生御遊の便所となし
給ふとや爰は其根本なれは誠に心ある方は
珎しき詠も有へき也責ておろかなる心なくさみに
「いにしへの千賀の浦半に来てみれはあはれに残る塩釜の跡
「みちのくは千賀の浦半と聞つるに遥々きぬる旅の空かな
それより又町に帰り/去(サル)家にて煙草のみて暫く休らふ
亭主のいひけるは是そそもいつくの人なるや我いひけるは
されは加賀の者江戸へ通るか此松嶋塩/竃(カマ)の景を聞
及ひしにまさりて/幸(サイハイ)たち寄申すなりはや日の暮
て候に一夜の宿をかし給へ亭主かいふ様安き事なから
爰は仙台近けれは諸事に法度つよく御身の
やうなる/独人(ヒト〳〵)には殊に宿をかさぬなり此町にてもかすへき者は
おほへす仙台まては七里なり夜の四ツには/着(ツカ)るへしまかふ
道もなしといふはや日も西に/傾(カタフ)く也しらさる道なれは