翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 35

ページ: 35

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心許なし如何すへきと暫くたつに最早秋の田の刈穂の 稲をこく/主(アルシ)の妻其米を一合計盆に入なふ旅の人是は 路の慰にてとく行給へといふ悦ひ袖に入てそこを出て あたりを十四五軒に宿をかりてみるに中〳〵かさすとや かくする内にはや日はくるゝ彼女房慈悲ありそうに 見えけれは今一度頼み食をもらひ明神に通夜 すへきと思ひ又かしこに立かへりなふ/御内(ミウチ)さまさき程の 者也脇にても宿かさす扨服もかひなふ成て候先 程の御なさけにこそ御無心を申すなり食をたかせて給り かへ堂にふせり申すへしとあはれけにいへは女房かいまみてあら 笑止やなふ/親仁(ヲヤジ)今宵計の事何か苦しからんといふは /黄昏(タソカレ)になれは見る人も有まし国里にてあの妻の さこそはあんし給しめ何人も女は同し事也といふあるし聞て 隣か聞てもいやれは/和御前(ワゴゼ)のそれまていふ程に其さしたる 大小渡されよ畏て渡しけれ本より慈悲の内儀なれは 俄に水風呂をたかせ食も中〳〵結構しよき菜 に菓子を調へ様々に馳走あり同様後生願ひとみえて 時々に念仏を唱ふ我も馳走の嬉しさに知りもせぬ後