翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 38

ページ: 38

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木々の梢をならすたにすはや胸をさはかして名所を難 儀に奥州の夢にもしらぬ道野辺を急けは末の宿に つく爰にも辻番共か我をみて棒をならし熊手取 て大きにとかむ是は南部より江戸へ行か道を急く故に 夜をこめて通る也然れとも今は草臥たり此宿 は何といふや夜は何時そ宿はかさぬかと云番の者共 答へけるは此所は中田と云夜ははや四ツ過なり宿の事は 思ひもよらす今二里行て増田と云所あり宿かす宿也 ゆけといふて一度に笑ふ其時ハ猶々すさましく覚て 側へ立寄其火をかせ煙草呑ふと云て腰をかけ扨なふ番衆よ 我はくるしうもなきもの也しらぬ道に草臥たり旅は心 世《見せ消ち:を|は》情そや少計爰に寝させてたへ結縁なるへしとかきくとき いひけれは番人等大きに怒り扨〳〵ばか者そ此辺は/御在所(コザイシヨ)なく て万事吟味有に依てならぬといふに早々ゆけやと拍子木打 さあ送るといふ送られて町端へ出暫立も出さるかいや〳〵また 番奴原に見付られてはよかるましと立行に闇路に迷ふた かたの人のつらさは増田かと問ふ人もなき道野へを漸たとり 行程に跡の宿とハ違ひ小家少々有て辻番もなし鳴鳥の