翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 46

ページ: 46

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爰に至て野原に休みて日暮方彼づだを取上首にかけんと するに曽而あからす扨こそと思ひ頓て此所に柴の庵を 結ひて骨を納め男も其まゝ髪を剃行ひすまして過 つるといへり其所今粉我の城内となり頼政郭といふとかや昔語りか 面白や扨下野に隠れなき日光山の中せんし途の西にふし 拝み武蔵と下野の堺なるくり橋にこそ着にけるされは此所 は房州中の湊の水上にて中〳〵夥敷大河也ちやうしより 高瀬舟に幾らと云事もなく帆を懸て上る我も渡し舟に 打乗て上れは向ひさつての宿天下の御関所にて道具御番 の人迄も実きら〳〵しくそみえにける今行末はこしかひの宿は それかと行程にせんしの橋を打渡り爰は浅茅か原とかや鏡 か渕を見渡せは/深々(シン〳〵)たる池の面に波また悠々たり汀にはあやめ /真菰(マコモ)/生茂(ヲヒシケ)りいとすさましく爰も美濃の国野上の長者か独 姫花子の前の有様をたとへていふへき人もなし心は秋の月のあらた なるに同し顔はせは春の花の色いかておろそかならん其比北白川 に吉田是貞とて公卿一人おはせしか吾妻へ勅使に下るとて花子に 枕をかはしまの小夜の衣手うらなくも契りし夜半のむつことにいと まも秋に帰るへし其時扇を形見とて取かはして別れ給ふか其後