翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 47

ページ: 47

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花子班女となり物に狂ひ都にのほり北白川吉田殿に廻りあひ 猶も契りは深草のゆかり恋しき梅若は人商人にかとはされ是 迄途々うられ来て浅茅か原の露霜と消し昔の物かたり 聞に/哀(アハレ)や花子の母あとを尋て隅田川浅茅か原に立出て 鏡か渕を見給ふと晴天の月湖水にうつり西に入るを打詠め 電光朝露のあたなる世を頼みし我もつれて入れとて此 渕に飛入て/終(ツイ)にはかなく成給ふ誠にふるき事ともを思ひ出て かく斗「月と共に入し鏡の渕みれはあはれにぬるゝ我結哉 「たつね来てあはて消にし露の身の其/俤(ヲモカケ)も見るこゝちして /実(ケニ)参りける方ならはめつらしき詠も有ぬへし隅田川の向ひに 木母寺とて梅若の寺あり則墓もそこにあり川の瀬に鷗ともならひ ゐたりそのかみ業平朝臣勅勘の身と成給ひ/山角(ヤマスミ)将監か手に渡り 此川を越るとて浮める水鳥をみて名にしおはゝいさことゝはんと 読給ひしとや我も又心のほとをなかめし也「是まてをきはと 思ひて来る身のわがことはりは立やたゝすや それより浅草の 観音に参詣し大門より見渡せは天か下の衆生等か願念する 所なれは中〳〵いふへきやうもなしやかて手水うかひして/膝(ヒサ)まづき 合掌して南無や大慈大悲の観世音夫仏神は人の敬ふに