翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 52

ページ: 52

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訴状左は帳付奥の間は御老中時々/杓木(ヒヤウシキ)打しつまりかへつて 音もせすそこにて羽織脇指取て懐中迄さかす扨取出しに六 尺有余の大男眼さかさまにきれ髭左右へ別れてさなから鬼 形のことく成あら者三人取かぎ万力二三十つゝ左右の腰に付八尺 斗の棒を突我をにらみ是へ参れとよはゝる声は只雷の如く也 我身も此事企し時より命を/塵芥(ヂンガイ)の如く軽くせし事なれ は今更驚くへきにあらねとも彼等か/怒(イカリ)り声に気をとられすこし うろたへと見へて門外なる彦六我に気を付んと大音にて御前そと よはゝる其時急度思ひ/直(ナヲ)し/近(チカ)々とさし寄箱段に手を打かけ 臂をはり七人衆を見やりてせき払ひをする其時くだんのあら者等 我か左右の後に立棒にて背を押又雷声にてよく申せ悪しく してとつたりくろうなと/怒(イカ)る時に小笠原殿如何に加賀の者何の 訴訟そ我畏て今度南部八の戸と申所にて私船を切破 中物以下迄皆盗取申に付あなたにて様々御断申せとも 更に聞入なき故に此大切なる御前に罷出て候委細は是 に候とうなじに指たる訴状箱をさし上る先汝有増 申せとあり畏て始大畑より終り八の戸の次第を細々と 申上るに長口上なれは其うちに/首(カウヘ)さかり声ひきくなる