翻刻
党共を御よび候へ問答して聞せ申さんとあざ笑て居たり
時に玉井かいひけるは船頭か甲斐殿にて事々敷/言(イヽ)たり
とかく国の者共を召のほし押合ていはせなは其口上とは違ふ
そと皆/苦笑(ニガワラ)ひ也我等いひけるは此上は違ふ事は三日/留置(トメヲキ)
し衆をきし衆の申わけこそ心許なけれ今申にてなし
今度押合の時伝奏にて申へし風をもたせていひ
けれは井上のいはく扨は今のいひ分は船奉行等業のやうに
聞えたり假初なから此/言葉(コトハ)は佐右衛門家の大事也其口後に
/違(チガ)はゝ仕舞は何とおさまる奉行共を召寄いはする外は
なしと面を赤めていはれたり其時後藤いひけるは船頭も過言
なり若申所/実(マコト)ならは彼衆の仕舞もむつかしかろふと笑ひ〳〵
申せは/側(ソハ)なる青侍かせきてやあごへんは船頭の宿か其方が
いふ事にてなし何の様子も不知して推参やといふ後藤大き
に腹立し不知事は推参とや各もみな不知にの給ふは
けふは甲斐殿より御意有て社参りたれ何の分も不立
に船頭いざ立といふて/打連(ウチツレ)て帰りたり扨佐右衛門殿には俄
にはや馬を立八の戸につかはさる彼奈山秋本等大きに/驚(ヲトロ)
き扨は船頭めはや訴訟したり是はゆゝ敷大事也のほる