翻刻
下は北陸道より出羽奥州/■(エツ)夷?が/千嶋(チシマ)に至迄彼
船に乗ゆかすと云所なし有時は奥州南部/大畑(ヲホハタ)と
いふ所へ行て材木/余多(アマタ)/積(ツミ)入/日和(ヒヨリ)を待に抑頃は寛文
八年時しもあり六月三日の卯の刻に俄に大風吹来て
彼大畑に/繋(ツナ)ぐ所の船も或は流されまたは沖にて
つぶれ/水主(カコ)共も大波に打/込(コマ)れ/底(ソコ)のみくずとなる
者/幾(イク)千人共計かたしむざんと云も/余(アマ)り有中にも何某か
船は/暫(シハラク)/繋留(ツナキトム)るといへとも巳の刻に至て/猶(ナヲ)/風(カセ)/盛(サカン)に
して今ひとしほ波しけりて/碇綱(イカリツナ)三筋一度にきれ
其/儘(マヽ)巳午の方より/吹(フク)風にまかせ松前の絵山の/峯(ミネ)/焼(ヤケ)山
/沖(ヲキ)へ吹出す/水主(カコ)共あはてふためきてこは如何せん/先(マツ)材木
打捨よといふもありいや〳〵/是程(コレホト)につよき波風に/荷(ニ)を
捨てなば上廻り/振(フリ)さきよかるまし只船を巻とこを
つむき梶に■をなし水を取上けしたくめを能して/寄(ヨリ)
を待んといふもありされは/異見(イケン)も/区(マチ〳〵)にして/未(イマタ)/不定(フデウ)
なるに/早風(ハヤカセ)変り申酉より吹風天地をひゞかし
大山も/崩(クツ)るゝ計にみえけれは/其揉(ソノモミ)合に面に立たる
四/柱(ハシラ)ふり折大柱/末(スエ)は海に落本は立木にせがれ六百