翻刻
今日は是迄そ帰られ候へ彼者共も/草臥直(クタヒレナオ)らは何事も
伝奏にて合すへしさらはと云て礼義あり其時我も手
をつかね此上は片時も急き給はるへしまけたる/方(カタ)こそ首
は候はしと宿と打/連(ツレ)帰りける道にて後藤かいふやう
今日我汗を出したり扨もよくも云たりはや勝たりとて
手を取合て/皈(カヘ)りける跡にて山田柴田は至極の腹をすゑ
かね彼者共を呼出し扨も〳〵/己等(ヲノレラ)は/悪(ニク)き/奴原(ヤツハラ)かな
それ程越度を持なから先日のかうけんは何事そ
けふの問答にて船頭めか理はしれたり今は伝奏へ出す
事思ひもよらす此上は宿を/懐(ダキ)入/扱(アツカ)ふて見む井上玉井
も聞給へ此事果て後代官船奉行はしはり首にするそ
残る四人は天下にもなき成敗に申付るそや大膳聞れ
は奈山秋本も申わけ成難しと/苦々(ニガ〳〵)しき体にて馬に
打乗かへらるゝ佐左衛門殿衆も案に相違して事の/究(キハマ)る
まて彼等をは下屋敷へやれとて番を付てそをかれける
其翌日御両方へ出昨日佐右衛門殿にてか様〳〵の次第にて
候今は相手上り候故は片時も急き召出され御糺明を頼
上候とつめかけて申程に佐右衛門殿へ其段仰渡さるゝに