翻刻
船頭の達而の訴訟故事をつゝます申す也此事/果(ハテ)て後代官船
奉行をはしめ浦方の者共を急度仕置に申付へきと既に/議定(キデウ)
したり柴田殿此上は殿の聞給ふ共船頭のしほらしき訴訟なれは
苦しかるましとあれは柴田のいはく何の子細のあらん墨付まても
なし弓矢八幡侍冥加も尽ん若左様の事も聞れなは此二人の者
共を侍とも思はれそ是は道の/遣程(ツカヒホト)そ是非共とられ候へと又
我前に置やれ茶を出せとあれは小姓衆出て茶をくるゝ両人も機嫌
にて様々に馳走あり左あらは申請へしそれ後藤殿といへは宿
則金を請取る仰は/違(チカ)ひも候ましと礼義をのへて暇乞後藤と
打/連(ツレ)帰りける翌日十七日に伝奏の七人へ御礼に出る取分加賀爪殿
小笠原殿には今度は恐れも不_レ/顧(カヘリミ)御苦労を申上る処に御影を
以先事をすまし誠に有難き次第とかく不被申上と下々迄に委
細に御礼申つゝ日暮て宿へそ帰りける扨御屋敷には山崎権丞殿
をはしめ在江戸の侍衆中式台御寄有て我をめし扨々
今度は首尾よく堪忍したり誠に今日大膳殿にてよき
所を申たり内々は是より気を付る所也其一言にて/歴々(レキ〳〵)
が助かるへし各御/心地(コヽチ)よく仰有頓而山本長■に御老中への
文書かゝせ箱に入て渡し給ふ其時我等申けるは今度