翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 77

ページ: 77

翻刻

/麓野(スソノ)の古木紅葉をましへもみち/降敷(フリシク)秋の空南は田子の 入海/漁村(キヨソン)の煙風に/靡(ナビ)き西の沖なる大船は順風に帆をあけて/滄浪(サウロウ) に歌うたふは唯夏月も/漸(ヤウヤク)盛かと疑ふ天竺震旦の五大山も是 には過し今日は殊更晴天にて/浅間(センゲン)菩薩の社まて無残みえて候 彼浜に見えたる/砂盛(スナモリ)こそ衣ほすてふ天の香久山よ前なる海を見 給へ東西二十八町有あの小舟に鮎をとるを見物あれ此所の名物そ 先かばやきまいれと語る実面白やされは古今の歌人もよめるは/富 士(フジ)の山也何とそいひたく暫く有て狂歌とやらん「言の葉は/不尽(フジ) とやいはむ此山のかきりしられぬ詠をそする「/仰看(アフキミル)富士 /■山(セツセン)ノ 空/嶠路(キヤウロ)払_レ ̄テ雲満_二蒼穹_一 ̄ニ影ハ入_二 ̄テ海中_一 ̄ニ魚似_レ登万方ノ美景/秀(ヒイ) ツ_二東_一おかしき事を/綴(ツヽ)り茶屋にも恥かしさにはや旅立の 思ひ出に吉田と聞も頼もしやうかひ富士川うち渡り此行 先はかん原と道行人かいひの宿沖津しら波打よせて 後に別れの明神と■かねと爰に/言(イヒ)川やさつたか/嵩(ダケ)にうち 上り末をはみちの野原と清見か関のかり枕夢もむすはぬ うたゝねに清見寺の鐘の声諸教無常と聞からに里に 鳴鳫は何にたよりて松岡の府中町に来てみれは見世に積 置染/紙子(カミコ)国のみやけにするか橋あべ川に立出渡らんと