翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

海陸世話日記 - 翻刻

海陸世話日記 - ページ 79

ページ: 79

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/飛(トブ)や/否(イナヤ)二/度(タヒ)起/直(ナヲ)る事なし今日は殊更水増りたりいつくに瀬 のあるとも不見不案内にては大事也川越を頼まれよといふ 何程にてこすといへは銭三百文と云先銭なし其上我もはや 川に馴たりいて渡りて見せうといふまゝに其まゝ/裸(ハタカ)になり 刀脇指着物をはうなしに結付一町計水上へのほり瀬の様子 はしらね共其儘懸入/折違(スチカイ)に流れ渡りと云ものに子細なく向の 岸にかけ上りたり頓而着物をうち着てふるひ〳〵かなやにゆき 去家にて暫く火にあたりそこにて則馬をかり小夜の中山を 越るに/馬士(マゴ)かいひけるは此山中に名物の候か御存知にて候かといふ いやしらす何にても面白事あらは語れといふされは此北なる谷に あたりて/無間(ムケン)の/鐘(カネ)あり明暦元年九月にかなやの角屋九右衛門と 云人つゐて今遠州に並ひなき金持になり候去共来世は 地獄に/堕(ヲツ)ると申か恐ろしき事也と云我いひけるは後は何にもなれ /少(チト)つきたしといへは/馬士(マゴ)我も現在の主かこわさに其鐘を尋 ぬるに今は土の下に/埋(ウツミ)たりとて笑ひけり山中に松の大木あり末は 枯たり馬士かいふ是は夜泣の松とて子共夜なきするにあの松 の枝を枕にすれは妙不思議に/留(トマ)る故に/皮(カハ)をむきからしたりと語 るその間に日坂也そこにて馬より下りたとり行こそ曽根川の