翻刻
其書に曰貴国の我薩州を去るもの二百余里其
西嶋東嶼の相近きも此僅に三十余里に過きす
故を以て時々聘問聘礼有り以て其隣好を修む
るもの其例旧し就中我宗子の嗣て立ては則青
雀黄龍を其舟に画き以て其衣を紫にするもの
其巾を黄にするもの二人をして其遣使と為さ
しめ厥の玄黄を篚にし来りて髻を右鬢の上に
結ふもの衆楽を庭除に奏す盖し嗣子の賀儀を
致すなり今や栄元寺の長老宣謨里主を遣し其
方物を載せ来り以て我家久の嗣て立つを賀す
又旧例を挙るなり我れ今言を国君に寄す我の
言を以て之を厭ふこと勿れ日本六十余州源氏
一将軍あり不猛の意を以て其号令を発し尺土
も其方物を献せさる者なく一民も其幕下に帰
せさる者なし是故に東西の諸侯朝覲の礼有ら
さるなく我れ今鹿児府の任を去ると雖毎歳親族
の左右に在る者をして行て以て其聘礼を致さ
しむ況んや家久国の宗主為り豈に年々の職を
述へさらん哉是より先き我此事を以て三司官
に告るもの数々なり未た其聘礼あるを聞かす