翻刻
王子尚宏中城王子尚熙左鋪王子尚豊僧菊隠僧
恩斉江洲親方江曽親方等以下無慮二百人なり
是日市来の港に至り十五日船に乗り午時纜を
解き西海より山陽海を経て六月廿七日大坂に
抵り黄蓮社に舎る逗留数日の後舟行楽を奏し
淀川を遡り伏見に上り心光寺に館す廿八日家
久先つ伏見を発して関東に向ふ琉人池親雲上
具志親雲上恩五郎恩次郎等家久愛する所とな
り率ゐて東行す廿九日午時尚寧等尋て発す弟
子丸越後守等護して之に従ふ又村田彦右衛門
といふものあり山口駿河守の臣なり倶に従行
す畿内都鄙の老少路傍に充満し行装を観るも
の其数を知らす人は顧りみるを得す車は輪を
轉する能はさるに至りしとそ家久先つ駿河に
至り前将軍に謁し物を呈して琉球を賜ふの恩
を謝す八月十日尚寧駿府に抵り尼崎に館す十
六日家久尚寧を将ゐ善将軍家康に謁す尚寧食
籠冀布唐盤硯屏焼酒等の物を献す十八日前将
軍散楽を張り家久及尚寧を饗す常陸介《割書:頼|宣》鶴千
代《割書:頼|房》の二公子自ら起て舞ふ接遇甚た優なり二