← 前のページ
ページ 587 / 800
次のページ →
翻刻
父子ノ合戦初ル。越前ノ足利高経。越中ノ桃井直
常モ。尊氏ニ怨(ウラミ)アルニヨリテ。直冬ニ属シ。北国ヨリ京
ヲ攻ント約ス。 十二月。山名時氏伯州ヲ発ス
四年正月。尊氏主上ヲ伴(トモナ)ヒ奉リ。江州ヘ落行。直冬
幷 ̄ニ時氏。高経。直常入洛 二月。尊氏東国ノ兵ヲ
催(モヨフ)シ。東坂本ニ陣ス。義詮ハ西国ノ勢ヲ催シ。神南(カウナイ)ニ陣
ス。時氏師氏神南ヲ攻ム。細川頼之。赤松則祐。佐々木
道誉等ヨク#1防(フセキ)ケレハ。師氏 疵(キズ)ヲ蒙テ敗(ハイ)軍ス。直冬以
下。東寺ノ城ニ籠ル。コレヨリ尊氏。直冬。洛中東寺ニテ
合戦数度ニ及フ。仁木。細川。土岐。佐々木。赤松等。前後
尊氏ニ弐(フタ)心ナクシテ軍功アリ 三月。南方ノ兵⁻粮(ラウ)
少キニヨリテ。直冬。時氏。高経。直常。皆其本国ヘワカレ
父子合戰初る越前の足利高經越中の桃井直
常も尊氏に怨あるによりて直冬に屬し北國より京
を攻んと約す 十二月山名時氏伯州を發す
四年正月尊氏主上を伴ひ奉り江州へ落行直冬
并時氏高經直常入洛 二月尊氏東國の兵を
催し東坂本に陣す義詮は西國の勢を催し神南に陣
す時氏師氏神南を攻む細川頼之赤松則祐佐々木
道誉等よく防けれは師氏疵を蒙て敗軍す直冬以
下東寺の城に籠るこれより尊氏直冬洛中東寺にて
合戰數度及ふ仁木細川土岐佐々木赤松董前後
尊氏に貮心なくして軍功あり 三月南方の兵粮
少きによりて直冬時氏高經直常皆其本國へわかれ