翻刻!江戸の医療と養生

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日ごとの心得 - 翻刻

日ごとの心得 - ページ 10

ページ: 10

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【右丁】 いへ共うゑをしのぐにたらざれは食物をからんとすれどもきゝんは 世間一同のことなればいづかたにても借(かす)人なし金銭とても不通用 たれば借貸(かりかし)の道こゝにたえて一粒一銭も不自由の世間となり人の命 実(まこと)にあやうくぞ見へたりける此時にあたりて諸国の御/領主(りやうしゆ)御/地頭(ぢとう)方 各領分の民をたやさゞらむがために穀(こく)止といへる作法をきびしく設(まうけ) て他領へとては穀物をいださせられず只領分〳〵の売買(うりかひ)のみになり しかば何ほど金銭を持ちし者とても他領よりしては穀物をかひとる こと少しもならずたとへば隣村(となりむら)に親類縁者ありといへ共他の領分なれ ば穀物のとりやりは少しもならず其不通用のほど此一条にても 知るべし扨御領主にては町方の穀屋共が貯(たくは)へたりしこくもつのありだか をかねて御しらべありしに日をおひて減少(けんせう)すればおほくの人の命を あやうくおぼしめされ売買に法をおんたてありて買人共多分 【左丁】 のこくもつを一度にかひとる事を禁(きん)じ又米 買人(かひゞ)として紛(まぎ)れ者の来(きた)ら むためにとて其村々の名主役人より其買人の家内の人高を糺(たゞ)し分(ぶん)に 応(おう)じ升数(ますかず)をかきつけて切手にしたゝめそれを証拠(しようこ)として買とるべしと の御下知なりされは其切手を穀屋共見/届(とゞ)けたる上にて穀もつをうり あたゆる作法(さほう)となれりそれも買(かふ)者共一人分につき銭高三百文を 限りとすべしとの御定なりしかば金銭をおほくもちしものたり とも此節のこくもつを多分に購(あがなひ)求る事はなかざりけりかくありし かば買人ども村役人の切手を以て穀屋〳〵にくんじゆして毎日〳〵市の 如し其中には家内の年寄(としより)子供(こども)又は病人などのなんぎをつげ様々の かなしみをいひたてし其ありさまのいたはしさあはれにたえざり しときこえしこれは白川.三春.仙台.南部.津軽.会津.米沢.越後.下 野.常陸.すべて関東八ヶ国かくのごとしといへり此時諸国米穀の直段きゝ