翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

日ごとの心得 - 翻刻

日ごとの心得 - ページ 19

ページ: 19

翻刻

【右丁】 人.家内をはたらく位の商売か.又は隠居(いんきよ)ひま人などは.朝めしを一ぜん食し. 昼めしを二ぜん.夜食を三ぜん.ときめて食すべしかくするときは一日の食 六ぜんにて.命をつなぐには十分の手あて也其間に糟団子を三ッ四ッづゝ茶 うけに用ふべし又うまれ虚弱なる人か式【或の誤記ヵ】は老人などへ団子のかはりに延 命丸を壱粒づゝ一日に三度用ふるときは脾胃(ひゐ)を補ひ気血を壮にし両便 の通じをよくする効あれば飢をたすくるのみならずおほいに其益あり としるべし○平日の食量一度に三ぜんと見て.三度にて九ぜんなり.これを 三ばい減するときは十日にて三十ぱい.三十日には九十盃.となる九十ぱいの米は ざつと見て三升也.十人ぐらしの家にては一ヶ月に三斗くひのばせり.中以下の者 は別段に米の延しやうもなく.又たとひ米ありとてかひおくといふほどには手 のまはらぬものなれば此仕法を守るにしくことなし.おのれが知れる人にきゝんの せつのよういといふにもあらねど.常に壱升の米をとぐときには.ひと□【つ】 【左丁】 かみづゝつかみて.それを樽(たる)のうちへうちこみ.弐升のときはふたつかみと升の かずによりて日〳〵にかくせし人あり六ヶ月めにはこれを払(はら)ひて其代にて年 中の勝手道具を調ひなどするにおほかたはこれにて事 足(た)れりとはなしゝ 人ありしがいかにも冥理をしりし心がけにて感心せる事にあらずや殊に 其仕法を考るに壱升のうちひとつかみの米をとりたらんには食量 のさまたげにもなるまじければいかにもおもしろき工夫なり人々こゝろがくべき事なり     ○白水(しろみづ)より葛(くず)をとる法 常(つね)のやうに米をとぎて一番とぎ二番とぎをよく〳〵念(ねん)をいれてとぎ.その 白水を桶(おけ)へいれて一日おけば桶の底(そこ)へ糊(のり)の如きものかたまる.其ときうは水を こぼし.笊(ざる)のうちへみのがみか西の内をしき.其上へあけておけば自然と水は こけて.糊の如きものゝこる.それを日に出して干(ほし)かたむるときは葛となる.しかれ ども風味は少し酢(す)いきみありて悪甘(わるあま)し.大抵三升よりは壱合余もとれる.□【尤】 【虫損部は東京大学総合図書館蔵本を参照し注記】