翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

日ごとの心得 - 翻刻

日ごとの心得 - ページ 7

ページ: 7

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【右丁】 州一見のためこゝかしことあるきしに道にふみまよひてゆくべきかたを うしなひなんぎのあまりたかき峯(みね)によぢのぼりて山の麓(ふもと)を見渡 しければ山間に人家の屋根(やね)のかすかに見ゆるに心よろこび草木(くさき)をお し分けやう〳〵とふもとにくだり其村里にいたり見るに人とては ひとりもなしこはいかなる事にやと見まはせば田畑のあとはばう〳〵 たるくさむらとなり家々は皆たふれかたふき軒端(のきば)には葎(むぐら)など はひまとばれりあやしくおもひながら家に入りて見るに篠(しの)だけ など椽(ゑん)をつらぬき其間〳〵には人の白骨(はつこつ)みだれありしを見て 目もあてられずおほいにおどろきいと物すごくおぼえければ身の 毛よだちて恐れをなし早々その所をはしりいでやうやくにして 人里(ひとさと)にはせつき始めて人 心地(こゝち)つきしとなり奧州のかたのき きん餓死(がし)のやうすは関東(くわんとう)へきこえしよりもあはれなることなり 【左丁】 とぞ然るにきん国関東のうちはいまだ大きゝんといふにいたらず其ゆゑ は秋作の実(み)のりもかなりにでき御領主( りやうしゆ)よりは御救ひの米穀(べいこく)および友 救ひの雑穀とうもありしゆゑうゑ死(じに)せしといふほどの事はなけれど 奥羽(あうう)とうの諸国にては米穀 一粒(  りう)もなければやむ事をえず牛馬の肉 はいふもさらなり犬猫までもくひつくすといへども遂に命をたもち かねうゑ死せし者其かずあげく【てヵ】かぞへかたしとなん○又奧州の 中にてもきゝんの甚しき村々のもの共くふべき手あてのなきは家 内皆つれだちてこじきに出しが原(もと)より金銭のたくわへなければ途 中にてうゑ死(し)にせしもの夥(おびたゝ)しきことなれどもいづくの誰(たれ)といふとも しれずたづねとうべき人々もなければつひには鳥けだものゝゑじき となるこそぜひなけれ又家をさらずしてありしものゝ中は うゑにたへかね自([み]つから)首(くび)をくゝり井戸川へ身をなげ親(おや)にわかれ