翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: 模範解答付きコレクション1

昔話稲妻表紙 - 翻刻

昔話稲妻表紙 - ページ 101

ページ: 101

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りたる呵責(かしやく)にも。たぐひまれなる責苦(せめく)なり。かゝる折(おり)しも。とり次(つぎ)の者(もの) はせまゐり。黒星(くろぼし)眼平(がんへい)只今(ただいま)帰国(きこく)つかまつりおん次(つぎ)にひかへ。おんめしを まち候ときこゆれば。道太(だうけん)打聞(うちきゝ)。それいそぎこれへよべといふにぞ。かしこみ 候とて退(しりぞ)きぬ。ほどなく眼平(がんへい)まかりいで。椽側(ゑんがは)に頭(かしら)をさげていひけるは。 月若(つきわか)どのゝゆくへをたづね。おん首(くび)打(うち)てまゐれとのおふせにより。所々(しよ〳〵) 方々(ほう〴〵)をたづねもとめ候うち。註進(ちうしん)の者(もの)ありて。丹波(たんば)の国(くに)穴太(あなふ)の里(さと)に住(すむ)。 六字(ろくじ)南無(なむ)右衛門と申す者(もの)。かくまひおくよし聞(きゝ)いだし候ゆゑ。いそぎゆき むかひ候 所(ところ)に。彼者(かのもの)いかゞしてか打手(うつて)のむかふ事を知(しり)。若君(わかぎみ)をつれてのがれ 去(さ)り。ゆくへしれずなり候。なむ右衛門と申すは別人(べつじん)ならず。佐々良(さゝら)三八 郎がことに候と。仮首(にせくび)をうけとりし。おのが越度(おちど)はおしかくし。まことしやか に相(あい)のぶる。蜘手方(くもでのかた)これを聞(きゝ)。そは残念(ざんねん)なり。しかるうへは。いてふの前(まへ)を せむるも無益(むやく)なり。かれはとくに殺(ころ)すべきはづなれども。畢竟(ひつきやう)月若(つきわか)の ありかをいはさんばかりに。今日(こんにち)までもいけおきぬ。もし大殿(おほとの)の心(こゝろ)かはり て。助命(ぢよめい)などあらば。後日(ごにち)のさまたげなり。とく〳〵かれを殺(ころ)すべし。 月若(つきわか)三八郎がゆくへは。なほきびしくたづぬべし。道犬(だうけん)そちはいかゞ思ふ やらんとのたまへば。道犬(たうけん)うなづき。それがしも左(さ)こそ存(そんじ)候へ。さるからは片時(へんし) も猶予(ゆうよ)はよろしからず。幸(さいは)ひ日(ひ)もくれなんとすれば。今宵(こよひ)のうちに御 首(くび)打(うち)候べし。いかに眼平(がんへい)。なんぢいてふの前(まへ)どのを乗物(のりもの)にのせ。夜(よ)にまぎ れて岩倉谷(いはくらだに)にかきゆき。ひそかにおん首(くび)打(うち)て来(きた)るべしと命(めい)じければ。 眼平(がんへい)腹心(ふくしん)のしもべをよびつぎ。庭(には)さきに乗物(のりもの)をかきいれさせ。夢(ゆめ)現(うつゝ) にて打伏(うちふし)たる。いてふの前(まへ)を。情(なさけ)なくもあらなはにて高手(たかて)小手(こて)にくゝし あげて。乗物(のりもの)におし入(いれ)。しもべにかゝせつきそひて庭(には)づたひにいで岩倉(いはくら)