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【挿絵】
心対鏡天昭白昼
節磨玉雪苦青春
葛城(かつらき)辞世(じせい)
壁(かべ)に生(おゝ)るいつまで草(くさ)の
いつまでも
つきぬ恨(うらみ)を思ひ斬(きり)てよ
愛想(あいそう)尽(つき)ぬ。とても武運(ぶうん)に尽(つき)たる身(み)なれば。腹(はら)かきさばきて冥途(めいと)に
いたり。せめて親(おや)人に分説(いひわけ)せんと心を決(けつ)し。血刀(ちがたな)をとりなほして。ほど〳〵
腹(はら)につきたてんとしたる折(おり)しも。外(と)のかたよりやれはやまるな。しばし〳〵
と声(こゑ)かけて入来(いりきた)る人を見るに。是(これ)別人(べつにん)にあらず。則(すなはち)是(これ)梅津(うめづ)嘉門(かもん)景(かげ)
春(はる)なりあとにしたがひしは鹿蔵(しかぞう)が弟(をとゝ)猿(さる)二郎にぞありける。山三郎
あまりに思ひかけざればいぶかりつゝ。ひとまづ刀(かたな)を□(さや)におさめていで
むかへば。嘉門(かもん)上座(じやうざ)に打通(うちとほう)りていはく。猿(さる)二郎が案内(あない)にて此(この)かくれ家(が)へ
まかり越(こせ)しは別事(べつじ)にあらず。某(それがし)しばらく河内(かはち)の国(くに)金剛山(こんがうせん)に世(よ)を避(さけ)。
仕官(しぐわん)の望(のぞみ)をたつといへども。官領(くわんれい)勝基公(かつもとこう)の懇望(こんはう)もだしがたく。去冬(きよふゆ)君(くん)
臣(しん)の契約(けいやく)をなし。上京(じやうきやう)して今(いま)已(すで)に勝基公(かつもとこう)の館(やかた)にあり。軍師(ぐんし)をもちゆる
礼義(れいぎ)あつければ。いにしへの貧(まづ)しさに引(ひき)かへて。何(なに)不足(ふそく)なき身となりぬ。