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【挿絵】
修験者(しゆげんじや)頼豪院(らいがういん)不破(ふは)道犬(だうけん)にたのまれ
妖術(ようじゅつ)を施(ほどこ)して毒鼠(どくそ)と化(け)し
月若(つきわか)をとり殺(ころさ)んと近(ちか)づきたるが
名舌屋(なごや)
山三郎が
手裏剣(しゆりけん)に
額(ひたい)を打(うた)れて真(まこと)の姿(すがた)をあらはし
修法(しゆほう)破(やぶ)る
頼豪院
【本文】
命(めい)じければ。蜘手(くもで)の方(かた)道犬(だうけん)と顔(かほ)見合(みあわせ)。しすましたりとおもひながら。これを
とゞめけれども。貞国(さだくに)聞入(きゝいれ)ず。花形丸(はながたまる)は殊更(ことさら)に。詞(ことば)をつくしてとゞむれども。
火性(くわせい)短気(たんき)の貞国(さだくに)。少(すこ)しも宥免(ゆうめん)なかりければ。もとより道犬(だうけん)一味(いちみ)の黒星(くろぼし)
眼平(がんへい)。迷惑顔(めいわくかほ)にて其(その)坐(ざ)を退(しりそ)き。君命(くんめい)といへども。母子(ぼし)の首(くび)うたんと
いはゞ。名古屋(なごや)父子(ふし)。たやすくは渡(わた)すまじ。しかる時(とき)はかれ等(ら)ともに打(うち)とらん
とおもひつゝ。四五十人の荒男等(あらしをども)を引具(ひきぐ)して。平群(へぐり)の館(やかた)へいそぎゆく。
鳴呼(あゝ)銀杏前(いてふのまへ)親子(おやこ)の身(み)のうへ。危(あやう)かりける次第(しだい)なり。此事(このこと)はやく
下館(しもやかた)に聞(きこ)へければ。名古屋(なごや)父子(ふし)大に驚(おどろ)き。三郎左衛門山三郎に
むかひ。これ正(まさ)しく不破(ふは)道犬(だうけん)が奸計(かんけい)にて。姫君(ひめぎみ)にぬれ衣(きぬ)をおはせ。御母(ごほ)
子(し)を失(うしな)はんとはかりしに疑(うたがひ)なし。(うつて)打手のむかはぬさき。某(それかし)急(いそ)ぎ上館(かみやかた)にいたり。
一命(いちめい)にかへても申しひらきして。御命(おんいのち)を救(すくひ)まいらせんとて。いそがしはく礼服(れいふく)を