翻刻
じゆくし小蝦(こゑび)を炙(あぶ)りて上(うへ)に置(おき)韮(にら)を刻(きざ)み
ふりかくるなり酒(さけ)醤油(しやうゆ)配法(はいほう)前(まへ)に同し
○燕窩湯(ヱンヲータン)《割書:一名 大菜(タッツアイ)|》ゑんす【燕巣】を一夜(いちや)水(みづ)に
浸(ひた)し又 湯(ゆ)にて能(よく)洗(あら)ひ毛(け)塵(ちり)等(とう)を能(よく)去(さり)
細(こまか)くさき湯(ゆ)に浸(ひた)し置(おき)鶏(にはとり)の煮汁(にしる)に塩(しほ)
酒(さけ)を加(くわ)へ至極(しごく)薄塩梅(うすあんばい)して鶏肉火腿(キイシヨホートイ)《割書:猪(ぶた)の|塩干(しほぼし)也》
鮮肉(なまぶた)糸切にして煮熟(にじゆく)し椀(わん)へ盛(もり)其上(そのうへ)へ
右ゑんすを盛(もり)て葱(ねぎ)を少(すこ)しきざみ入(いれ)る
煮汁(にじる)七分 酒(さけ)三分 配法(はいほう)也
○魚翅湯(イヽツウタン)鱶鰭(ふかのひれ)を水(みづ)に浸(ひた)しゑんす
同様(どうやう)にして鶏(にはとり)をこまかく角切(かくぎり)にして鍋(なべ)に
油(あぶら)を入ざつと炒(いり)醤油(しやうゆ)酒(さけ)水(みづ)を入 塩梅(あんばい)して
細火(ほそび)にて煮(に)じゆくし鰭(ひれ)椎茸(しいたけ)葱(ねぎ)を入れ
しばらく煮(に)て盛(も)る時(とき)は鰭(ひれ)を上(うへ)に盛(も)る
水(みづ)酒(さけ)等分(とうぶん)にして八分 醤油(しやうゆ)二分 程(ほど)ずい
ぶん淡塩梅(うすあんばい)にして用る
○海参湯(ハイスヱンタン)いりこを竪(たて)四つ切(ぎり)にして湯にて
煮熟(にじゆく)し火腿(ホートイ)の煮汁(にしる)に酒(さけ)醤油(しやうゆ)をくわへ
塩梅(あんばい)し魚円(イヽヱン)《割書:魚のかま|ぼこを云》椎茸(しゐたけ)葱(ねぎ)を入れ煮(に)る
酒(さけ)醤油(しやうゆ)の配法(はいほう)魚翅湯(イヽツウタン)におなし
○羊羔(ヤンカ○ウ)羊肉(ひつじのにく)を一塊(ひとかたまり)二斤(にきん)ほどづゝにして
水にて能(よく)煮熟(びじゆく)し汁(しる)を去(さり)肉(にく)をよくあらひ
大根(だいこん)生姜(しやうが)葱(ねぎ)をくわへ醤油(しやうゆ)酒(さけ)にて能(よく)煮込(にこみ)
骨(ほね)を去(さり)て冷(さめ)たる時(とき)薄(うす)く切(きり)用ゆ酒(さけ)七分