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【右丁】
旅宿
十二月廿五日 国王(こくわう)へとゞこをりなく目見へ相 済(すみ)其上帰
帆(はん)の願(ねかひ)も聞(きゝ)とゞけあり皆々(みな〳〵)悦(よろこ)び無程(ほどなく)宿所(しゆくしよ)へ戻(もど)り駕籠(かご)
よりいづれバ警固(けいご)の官(やく)人衆それ〳〵へ挨拶(あいさつ)ありて帰り
申されかれ是(これ)時刻(じこく)もよほど過(すき)空腹(くうふく)になりしゆへまづ
仕度(したく)をなし其後 殿中(でんちう)の次第(しだい)宿(やど)にのこりし二人の病人
へも具(つふさ)にも申 聞(きかせ)互(たかひ)に日本へ帰帆の事をバはなし合只日の
本(もと)の神々(かみ〳〵)を遥拜(よふはい)し今朝よりの心遣ひにめい〳〵打 寛(くつろ)
ぎ一睡(いつすい)の眠(ねむり)を催(もよふ)しけりとかふする内 冬(ふゆ)の日のせわしなく
【左丁】
典官(てんくわん)《割書:付添|人なり》ゆりおこしける故に目(め)を覚(さま)し手水などつかへ
バ早(はや)夕飯(ゆふめし)のこしらへできぜんにすわり丈(しやう)六を組(くみ)又ハ膝(ひざ)ハを
おり食事(しよくじ)なす折(おり)から表(おもて)に国人(くにびと)大勢(をゝせい)立(たち)我々(われ〳〵)を詠(なが)め在(あり)し
がどや〳〵と四五十人内へはいりまへうしろに立はたかり
口々にしやべりけるゆへ何事なるやと不残(のこらず)箸(はし)を下(した)に置(をき)《割書:此國|食事》
《割書:なすに箸にてくわず中より上の人はさじ也 下輩(しも〳〵)のものハ手づかみにて食|するなり此方どもハ始(はしめ)よりはしをこしらへ食せしなり其上丈六を組ひざを》
《割書:かゝめ居(すわ)りいしをふしんに|存候よし此こと奥にくはし》典官を呼(よび)尋(たづね)候へハ是(これ)ハ其許達(そこもとたち)のすわり
ゐて食せらるゝをふしきにぞんじ又箸にて給(たへ)申され候故
おかしくおもひ見物(けんぶつ)いたすことなるとて典官右の大勢をし