翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 25

ページ: 25

翻刻

【右丁】 かひ又 日数(ひかず)相立(あひたち)候てよりハ典官(てんくわん)幷に下官(したくわん)も断(ことハり)申引もら ひめい〳〵きさんじにくらし通辞(つうじ)も心易(こゝろやす)き人にて此方 へも呼(よひ)又は招(まね)かれ後(のち)にハ同道(どふ〳〵)いたし青物(あをもの)など求(もと)めにまい りさま〳〵のはなしをなし候内日本へ外國(くわいこく)より漂着(ひやうちやく)のもの 国王(こくわう)へ目見(めみ)への義(ぎ)如何(いかゞ)と尋(たつね)候に付其義ハ不相成(あいならず)と申候へバ 此國にても漂流(ひやうりう)人 来(きた)り候 節(せつ)國王(こくわう)へ目見(めみ)へハ叶(かな)ハず候へと も其元達(そのもとたち)ハ日本の人なる故(ゆへ)目見(めみ)へ出来(でき)候よし彼(かれ)に付 是(これ)に付なを〳〵古郷(こきやう)のことをおもひ出(いた)し一日を暮(くら)す事 三秋(さんしう)のおもひをなし時(とき)の至(いた)るを相待(あいまち)候内 明(あく)れハ景興(けいこう)五 【左丁】 十六年正月になり我国(わかくに)の寛政七年卯も年は父母(ちゝはゝ)妻子(さいし)は らからの事ども取 交(まぜ)て三が日をくらしけり然(しか)る所 舟頭(せんどう)清 蔵を始(はしめ)其外五人の者 舟中(せんちう)より病気(ひやうき)にて此 節(せつ)ハ食事(しよくじ)も すゝまず追々(をい〳〵)種気(しゆき)多(をゝ)く小便(しやうべん)もふつうじに成 国王(こくわう)より被附(つけられ) 候 典薬(てんやく)もいろ〳〵配剤(はいざい)に肝膽(かんたん)を碎(くだ)き手を尽(つく)すといへどもそ の功(しるし)なく日々(ひに〳〵)容体(よふたい)あしく相成 薬(くすり)さへも咽(のど)を通(とを)らず《割書:尤 醫者(いしや)|脉(みやく)ハ見》 《割書:ず腹(はら)背中(せなか)足(あし)を撫(なで)かんがへる斗也 容体(よふたい)ハ書附(かきつけ)に認(したゝ)め出(いだ)す|薬合ニせつさじ薬箱なし紙袋(かみふくろ)に入手づかみなり》めい〳〵も種々(しゆ〳〵) に心(こゝろ)をつけ介抱(かいほう)に胸(むね)を痛(いた)め何卒(なにとぞ)一度 本復(ほんぶく)致(いた)させ打(うち)そろ ひ目出度日本の地へ帰帆(きはん)なさバ此上の悦(よろこ)びなしと残(のこ)りの十