翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 42

ページ: 42

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【右丁】 も南国(なんこく)の嶋国(しまぐに)ハみな安南国(あんんこく)へしたがひ惣(すべ)て諸国(しよこく)とても 日本とは違(ちが)ひ肉食(にくじき)多(をゝ)きことハ風土(ふうど)のなりハし也 我國(わかくに) 程(ほど)ありがたきことハなし此安南国にてハ家々(いへ〳〵)に禽獣(とりけたもの)数(あま) 多(た)飼置(かいをき)日用(にちよう)のかてに遣(つか)ふことあげてかぞへがたしめい〳〵 も日々(にち〳〵)近所(きんしよ)なと心(こゝろ)やすき方(かた)へはなしに至(いた)り候せつは日 本人への馳走(ちそう)とて我方(わがかた)に飼置(かいをき)候 豕(ぶた)などの能(よく)大道(だいどう)に 遊(あそ)びたわむれいるを呼込(よびこみ)我人(われひと)の目(め)のまへにて四ツ足(あし)を細(ほそ) 引(びき)にてくゝり幅(はゞ)三寸斗もある両刃(もろは)の釼(けん)をいだし下(した)には 鉢(はち)をかけ置(をき)咽(のど)の下の毛(け)四五寸ばかりもむしりとり其(その)所(ところ)へ 【左丁】 右の釼(けん)をさしこめハ獣(けだもの)ハせつなきに泣狂(なきくる)ふを見向(みむき)もせず 乗(のり)かゝりて流(なが)るゝ血(ち)を鉢(はち)へとり入 酒(さけ)の肴(さかな)にハ其儘(そのまゝ)吸(すひ)又は 温(あたゝか)き飯(めし)にかけ賞翫(しやうくハん)なし或(あるひ)ハ其血(そのち)を瀬戸物(せともの)の鍋(なへ)へ入(いれ)煑(に) 詰(つめ)候へバかたまり候を酒(さけ)のさかなとなし獣(けだもの)の四ツ足(あし)ハ切捨(きりすて) 大釜(おゝかま)に湯(ゆ)をたぎらし置(をき)未(いまだ)死切(しにきり)もせざるをその儘(まゝ)打(うち) 込(こみ)暫(しバら)くありて引上(ひきあけ)毛(け)を抜(ぬけ)バ一 筋(すじ)も不残(のこらず)きれいに抜(ぬけ)候 をあをのけになし咽(のど)の下(した)より腹(はら)へかけ竪(たつ)にたちわり小(こ) 口(くち)よりづか〳〵と細(こま)かくきり別(べつ)に瀬戸(せと)なべに牛豕(うしぶた)のあぶら をたぎらし置 塩(しほ)にてかげんをなし此中にて煑詰(につめ)め能(よき)