翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 47

ページ: 47

翻刻

【右丁】 はなしなり又 家毎(いへごと)に門のしまりもなく惣(すべ)て大戸(をゝと)ハ皆(みな) 々(なが)〳〵二階(にかい)の方へさし上けせんにて留置(とめをき)暮時(くれとき)にハ上(うへ)よりお ろし寝鎮(ねしづまり)候節も貫抜(くハんぬき)かけかね錠(でう)などハ一切(いつせつ)なし甚 不用心(ぶようじん)なりし〆(しま)りなり近(ちか)き嶋国(しまくに)より盗賊(とうぞく)あまたは いくわい致(いた)しかなたこなたへはいること数(かす)かぎりなし旅(りよ) 宿(しゆく)へも三度まで盗賊(とうぞく)来(きた)り候所四五人の気性者(きせうもの)我〳〵と 割木(わりき)その外(ほか)手(て)ごろの品(しな)を持(もち)追(をつ)かけ行しにその烈(はげ)しき に恐(おそ)れしや見向(みむき)もせずにけかへりけるを一人にてもたゝき 臥(ふ)せこらさんと三四町も濱(はま)まで喚(わめき)ちらし追行(をひゆき)しに 【左丁】 磯(いそ)ぎわに繋(つなぎ)ありし舟(ふね)へ飛乗(とびのり)〳〵手早(てはや)に棹(さほ)さし逃(に)げ 帰(かへ)りしハ心地(こゝち)よく皆々(みな〳〵)手を打(うち)笑(わら)ひ宿所(しゆくしよ)へかへりけり扠 都合(つがふ)三度にも及(をよ)びしかハ後また来(きた)りしことも有(ある)べしと 太(ふと)き竹(たけ)大(をゝ)きなる木(き)にて用心棒(ようしんぼう)をこしらへ置(をき)をのれ今(いま) 一度 来(きた)りなバ手(て)なみの程(ほど)をみすべしと毎夜(まいよ)油断(ゆだん)もせ ず休(やす)みれけどいつも同(をな)じ盗人(ぬすびと)にてありしや又ハ此方の いきをひにおじけるか再(ふたゝ)び来(きた)らざりしハ心(こゝろ)よくもおも ひける又 城下(じやうか)を毎日(まいにち)〳〵歩行(あるき)候せつ異形(いぎやう)の人を見(み)しに 弐尺四方又ハ三尺四方にて厚(あつ)さ壱寸斗もある板(いた)を首(くび)