翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 64

ページ: 64

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【右丁】 おもひ出(いだ)し暮(くら)しけり右清蔵 去年(きよねん)国(くに)に有(あり)し時□ 敷(しき)節用(せつよう)二冊《割書:一冊ハ和漢(わかん)節用(せつよう)無双袋(むそうふくろ)|一冊ハ大々(たい〳〵)節用(せつよう)万字海(まんじかい)》買求(かいもと)めいつも廻舩(くわいせん)に入 晝夜(ちうや)詠(なかめ)ありしが此度も石(いし)の巻(まき)出舩(しゆつせん)のとき右弐冊の本 を持来(もちきた)りしにはからずも難風(なんふう)に漂(たゞよ)ひ此国にて空敷(むなしく) なるといへど弐冊の本ハのこりて後(のち)のかたみと詠(なが)めけり尤(もつとも) 此本の有候故に始(はじめ)西山小村(さいざんこむら)へ漂(たゞよ)ひ着(ちやく)せし時(とき)も真字(しんじ)を書(かく) 事しれざる時ハかしら字(じ)のいろはにて引出(ひきいだ)し艸字(そうじ)を以(もつ) て真字(しんじ)を書(かき)みせ故に弐冊の本にてことを便(べん)じ候こと廣(かう) 大(だい)の一助(いちちよ)となり書(しよ)の難有(ありがたき)ことを申あへり王城の旅宿(りよしゆく)にても 【左丁】 国詞(くにことバ)しれざる内ハいつも両人ツヾかゝり二冊の本にて文字(もんじ)を 見出(みいだ)し認(したゝ)め候せつなどハ官人(やくにん)通辞(つうじ)までも珍敷(めづらしく)存(ぞん)じ本を かしくれ候 様(やう)申くりかへし〳〵詠(なが)め悦(よろこ)びけり其内にも和漢(わかん) 節用(せつよう)の奥(おく)にある男女 相性(あいせう)の圖(づ)にて日本の女の風俗(ふうぞく)をみ て甚(はなハ)だ笑(わら)ひを催(もよふ)せり又は口にある所の武者(むしや)の百将傳(ひやくしやうでん)な どにてハ大きに我折(がをり)或(あるい)ハ文字(もんじ)一ツを二様(ふたやう)に用(もち)ひ音聲(おんとこへ)の替(かハ) ることを皆(みな)感心(かんしん)せり此 書(しよ)の事 官人衆(やくにんしゆ)より王城へ申上しにや 帰帆(きはん)まへに何卒(なにとぞ)国王(こくわう)へ献上(けんしやう)致(いた)し呉(くれ)候 樣(やう)相頼候故 望(のそみ)に 任(まか)せ殿中(でんちう)へ暇乞(いとまごい)の節(せつ)持参(じさん)せしが永(なが)く安南国の秘(ひ)□