← 前のページ
ページ 69 / 104
次のページ →
翻刻
【右丁】
番代仁心 深(ふか)く国中 安堵(あんど)の旨(むね)をのべ今五ケ年の守護職(しゆごしよく)
を仰(おゝせ)付られ下さるべしと嶋中 以連印願(れんいんをもつてねがひ)ける故(ゆへ)其意(そのい)
に任せ番代へハ国王より褒美(ほうび)の書(しよ)到来(とふらい)なしけれバ兼(かね)
て工(たく)みしことく我詞(わがことバ)を用(もち)ひすしてはかりこと成就(しやうじう)せり
と悦(よろこ)びけり斯(かく)て王城にても後(のち)の番代の噂(うハさ)ハ止(や)みにける
然(しか)る所四年目の暮国王 急病(きうひやう)にて崩御(ほうきよ)あり續(つゝひ)て今
の国王 代(よ)を納(おさ)め給ひ西山国へもその趣(おもむき)申来るといへど嶋
代(たい)もなさゞれバ王城にてハ評義(ひやうぎ)區々(まち〳〵)にて国王より再(さい)
【左丁】
度(ど)招(まね)かるゝといへど返答(へんとう)を左右(さゆふ)に拒(こバ)み前後(ぜんご)の往来(ゆきゝ)に時(じ)
日(じつ)を延(のば)し彼是(かれこれ)半年ばかりも相立内西山国に晝夜(ちうや)人歩を
まして城(しろ)を築(きづ)き近国の嶋々を切なびけ自立(じりつ)の志(こゝろさし)を顕(あらハ)
し日々 軍務(ぐんむ)の鍛錬(たんれん)をなし安南国をも平吞(へいとん)せんとの企(くわだ)
てこれあるよし王城へ聞(きこ)へけれハ国王にも僉義(せんぎ)あつてこれ
等閑(なをざり)の事にあらずと彼(かの)国 征伐(せいばつ)の趣(おもむき)属(じよく)国の諸侯(たいしやう)方一以
飛(とひ)捌(もつて)軍 勢(せい)催促(さいそく)有けれバ王城の大 事(じ)此 時(とき)なりと諸国よ
り集(あつま)り来りし勢又国王の勢 兵(ひやう)諸(もろ)とも去(さんぬ)る景興(けいこう)五十
五年四月より西山征伐の手 始(はじめ)として兵舩(ひやうせん)凡三万艘(そう)斗