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【右丁】
土筒(どゝつゝ)にて花火(はなび)を上(あく)ることはな〴〵賑(にき)はしく城中(じやうちう)にて
所々(しよ〳〵)にのろしのごとき大花火(をゝはなび)ありまたは大舩(たいせん)何艘(なんそう)と
いふ数限(かずかぎ)りもなく一二里ヅヽ漕行(こぎゆく)国人 大勢(をゝせい)てうちんたか
くともし立(たて)て【舟+正】(どら)太鼓(たいこ)たゝき喇叭(らつは)を吹(ふき)幣(へい)のごとく切(きり)し
箔紙(はくがみ)を何れの舩にても燃(もや)せば恰(あたか)も海上(かいしやう)の火勢(くはせい)もの
すごく陸(くが)には花火をあぐる筒音(つゝをと)四方(しほう)にひゞきこなたは
目(め)を驚(おとろ)かせり折節(おりふし)十五日 暮過比(くれすきごろ)より小雨(こさめ)少(すこ)し降(ふり)いだ
せば沓(くつ)をはき傘(からかさ)さし舩端(ふなばた)へ来る人あり其 傘(からかさ)のけつ
【左丁】
こうなること町人などのさすべきものにあらず定(さため)て由緒(ゆいしよ)
の人ならんと見る内 追々(をひ〳〵)跡(あと)より出来(いてきた)る人も同じ品(しな)のかち
かさゆへふしんに思(をも)ひ舩中(せんちう)のまかないへ尋(たつぬ)れば此所の傘(からかさ)
は不残(のこらず)同しこしらへときゝうつし帰(かへ)りし其圖(そのつ)のあらまし
斯(かく)のごとくなり
傘 (からかさ)《割書:青絹(あをきぬ)|黒絹(くろきぬ)》 《割書:萌黄(もへき)絹|黄(き)絹》 右 絹(きぬ)にて張(はる)
骨(ほね) 真鍮(しんちう)にて不残(のこらず)こしらへ蝙蝠(かうもり)唐金(からかね)なり