翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 81

ページ: 81

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【右丁】 乾隆(けんりう)六十年卯七月廿一日 廣東(かんとう)川口寄り舩上りして 官人(やくにん)に付(つき)そひ半道斗来れは城下入口なり此地安南 国とちがひ町屋(まちや)甍(いらか)をならべ壱町 毎(ごと)に屋根 瓦(かわら)ぶきにて 高昇(たかびく)なく棟(むね)一様(いちやう)に揃(そろ)ひ大道(だいどう)のこらず切石(きりいし)を敷(しき)町々門 口の外(そと)に又 一重(ひとへ)の塀(へい)在(あり)此内に商人(あきんと)店(みせ)軒(のき)をならべ何 商(しやう) 賣(ばい)とても其類(そのるい)壱町 宛(ヅヽ)に限(かぎ)り呉服(ごふく)太物(ふともの)小間物(こまもの)荒物(あらもの) 金道具(かなとうぐ)板類(いたるい)材木(ざいもく)薬店(くすりみせ)書物(しよもつ)墨筆(すみふで)其外 数多(あまた)の 集(あつま)り町々(てう〳〵)通(とふ)り筋(すじ)皆(みな)斯(かく)のごとくとりわけ大道(だいどう)は石土砂(いしどしや) 【左丁】 の障(さわ)りなく入口より一里半斗来り旅宿(りよしゆく)へ着(つき)此所に ては始(はじめ)より官人(やくにん)付添(つきそひ)ありて外へは不出(いださず)一町かぎりに歩行(ほこう) のこと申渡しけり朝夕(あさゆふ)の食物(しよくもつ)も大躰(たいてい)日本に替(かは)りな く川(かわ)𩵋(うを)青物類(あをものるい)を遣(つか)ひ肉食(にくじき)は振舞等(ふるまひとう)斗也此地にも 味噌(みそ)はなく日本を出しより久々(ひさ〴〵)味噌汁(みそしる)を不吸(すはず)扠々(さて〳〵) 心(こゝろ)あしく醤油(しやうゆ)はあれど是も塩(しほ)のにがりのごとく誠(まこと)の醤(しやう) 油(ゆ)にあらず何にても味(あじはひ)なく米(こめ)も安南国よりは風味(ふうみ)よ しといへど我國(わかくに)の米程(こめほと)にはなく早々(はや〳〵)日本へ帰帆(きはん)いた したく十人とも是のみ申 暮(くら)しけり国守(こくしゆ)の城(しろ)は此方ど