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【右丁】
も旅宿(りよしゆく)より見得(みへ)ず只(たゞ)五重の塔(とう)斗(はかり)は三里五里 脇(わき)より
もよく見得(みへ)また二日 置(をき)三日 毎(ごと)に上官人(おもやくにん)被参候せつは
付添(つきそひ)官人(やくにん)門口(かどぐち)まで立出(たちいで)双方(そうほう)立寄(たちよる)と互(たがひ)に足(あし)をもじ
らし手(て)を組(くみ)かわせしは禮儀(れいぎ)と相見得(あいみへ)扠々(さて〳〵)笑止(おかし)きこと
ともなり其後(そのゝち)内へ案内(あんない)に連(つ)れ上官人(おもやくにん)入来れば皆々(みな〳〵)辞(じ)
義(ぎ)をなし無程(ほとなく)帰(かへ)られ候 時(とき)跡(あと)より詠(なが)むれば官人(やくにん)の先(さき)へ
四五人斗 両側(りやうかわ)に棒(ぼう)を引(ひき)ワア〳〵と云(い)へば大道(だいどう)行通(ゆきか)ふ人(ひと)
片脇(かたわき)へよけしは定(さだめ)てかたよれと云(いふ)ことにやとすいり推量(すいりやう)せ
り此国にも卅日斗 逗留(とうりう)の内町内へ彼是(かれこれ)はなしに行(ゆき)
【左丁】
しがいつとなく心安(こゝろやす)き方(かた)出来(でき)立(たち)かわり入替(いりかわ)り旅宿(りよしゆく)
には付添(つきそひ)人をのこし置(をき)毎日(まいにち)仕度(したく)すめば又其 時刻(じこく)迄(まで)
遊(あそ)びあるきけり此国 至(いたり)て家立(やたち)よく二階(にかい)もあれど
安南国と同(おな)じことにて男女こしかけに寄(より)食物(しよくもつ)酒(さけ)
盛(もり)用㕝(よふじ)も調(とゝの)へ未(いまだ)暑(あつさ)もさりがたき時節(じせつ)故 晝寝(ひるね)抔(など)
致(いた)し居(ゐ)る躰(てい)を見(み)れば頭(かしら)に枕(まくら)をなし足先(あしさき)にも枕(まくら)よ
り大(おゝ)きなる臺(だい)をこしらへ上(うへ)にあしをのせ臥事(ふすこと)男子女
子もかはらず夜分(やぶん)も右のごとくなすよし国風はさて〳〵
替(かわ)りしことあるものなり床(ゆか)は板間(いたま)にうすべりを敷(しき)柱(はしら)の際(きは)は