翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 94

ページ: 94

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【右丁】 丈五六尺も水かさ増(まさ)り磯際(いそきは)へ打(うち)よするにぞおもひがけ なき事 故(ゆへ)仰天(ぎやうてん)し急(いそ)ぎ迯(にげ)んとかけ出(いだ)せば水主(かこ)共 聲々(こゑ〳〵) に呼(よ)び留(とゞ)め此所は大海(をゝうみ)より満塩(みちしほ)の時は毎日一度ヅヽかやう のことあり今日の塩時(しほどき)も刻限(こくげん)を考(かんが)へ入津(にうしん)せし故 無難(ぶなん)な りとはなしの内 次第(しだい〳〵)に塩(しほ)も引(ひく)やうすになり日本の海上(かいしやう) にてはなきことにて始(はじめ)は大(をゝ)きに驚(おどろ)きしと申けりまた 大川より横(よこ)へ流(なが)るゝ枝川(ゑたかわ)あり幅(はゞ)一町斗にして川上シツコン の町(まち)へ續(つゞ)き常(つね)に小舩(こふね)の往来(おふらい)しげし此間百町あり大川と 城下の半(なかば)に五重塔(ごぢうとう)有此下に百軒(ひやくけん)ばかりの一村は塔(とう)を守(まもり)の 【左丁】 人家(じんか)なりに日々(にち〳〵)暮時(くれどき)に塔(とう)へ上(あが)り一重目(いちじうめ)二重目(にじうめ)に四方(しほう)へ灯(ちやう) 燈(ちん)廿五 張(はり)ヅヽ釣(つり)ともすなり是(これ)は海上(かいしやう)大川(をゝかは)などの夜(よる)の目(め) 當(あて)とする見燈(けんとう)也(なり)尤清朝にて塔(とう)の嶌(たか)き物(もの)シツコンに續(つゝ) くものなく四十丈斗もあるべし日本 天王寺(てんわうじ)の塔(とう)四ツが けとも見(み)へ王城とても塔は是程(これほど)にはなき趣(をもむき)下官人(したやくにん) 咄(はな)しけり此 村(むら)へ城下(しやうか)より多(おゝ)くの牛車(うしくるま)を引来り運送(うんそう)の品(しな) を積(つみ)ジツコンの町へ日々(にち〳〵)通(かよ)ふこと日本 伏見(ふしみ)の牛車(うしくるま)に少(すこ)しも 違(ちが)ふ事(こと)なし斯(かく)てにて官人衆(やくにんしゆ)同道(とう〴〵)にて暮時(くれどき)に城下に着(つき) 翌日(よくじつ)町筋(まちすじ)を通抜(とふりぬけ)しか廣東(かんとう)に同(をな)じ繁華(はんくは)の地(ち)とみ