翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

南漂記 - 翻刻

南漂記 - ページ 96

ページ: 96

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【右丁】 入れ則(すなはち)旅舘(りよくわん)のよし申渡 暫(しばらく)休足(きうそく)済と食事(しよくじ)を調(とゝの)へ 官人(やくにん)帰(かへ)り候 後(のち)二階(にかい)へ行 詠(ながむ)れば三方 遥(はるか)に大海を見晴(みはらし)絶(ぜつ) 景(けい)の旅舘(さ□□さ)なり尤此地は清朝の内 左甫(さふ)と言(いふ)城下(じやうか)にて 国守(こくしゆ)の城は西表にして平城なれど二方の外堀(そとほり)へ大河(だいか)を 取籠(とりこめ)一方は海へ築出(つきいだ)し一方 平地(ひらち)にして内に五重塔(こぢうのとう)有 大道(だいとう)より見る時は城中 至(いたり)て嶌(たか)く又 湊(みなと)口へは見附より二 里斗にして諸國(しよこく)の商舩(しやうせん)此所に碇(いかり)をおろし問屋(といや)軒(のき)を ならべて日々(にち〳〵)荷物(にもつ)の水揚(みづあけ)蔵(くら)に満(みち)町 小路(こうじ)は市日のことく安 南 阿媽港(あまかわ)廣東(かんとう)より小國といへど皆(みな)家建(やたち)瓦葺(かはらふき)にて朝(あさ)は 【左丁】 未明(みめい)より日の暮るゝまて家々(いへ〳〵)に諸国(しよこく)運送(うんそう)の荷物(にもつ)をこし らへ追々(をひ〳〵)小舟(こふね)にのせ大舩(をやふね)へ持(もち)はこべば日々(にち〳〵)出舟(しゆつせん)なれしあり 入来る舩と行違(ゆきちが)ふこと土地(とち)の繁 昌(じやう)我國(わかこく)の浪華(をふさか)に異(こと)ならず 扠九人の者は旅舘(りよしゆく)に有て三日目に異前(いぜん)の官人(やくにん)来り朝暮(てうほ) の仕度(したく)も心任(こゝろまか)せよ致(いたし)可然(しかるへし)と諸入用(しよいりよう)の品 官所(やくしよ)より渡(わた)され 是(これ)より銘々(めい〳〵)手煎(てせん)しになし気儘(きまゝ)に日を送(をく)りけり尤此三 四軒の明屋鋪は前々(まへ〳〵)より清朝(せいてう)の地(ち)へ着(つき)候 漂流(ひやうりう)人 夫々(それ〳〵)の国 々より何れ此地迄来り逗留中(とうりうちう)右の旅舘(りよしゆく)を渡(わたす)事定り なり屋鋪(やしき)毎(こと)に床(ゆか)高(たか)くして上敷(うはしき)を重(かさ)ね鍋釜(なべかま)家具(かぐ)に