翻刻
儘船を乗掛候得者火ニ而者無之皆汐の漚の光ニテ
御座候其外火の檣へ飛来候事も御座候是は
唯ノ浮気にて風雨前に相見へ申候
一七年前北米利幹「ボウストン」と申所の軍船側量
の為諸国ヲ廻り日本へ入津仕候処只可帰々々と謂れ
候のミにて空く帰帆致候段略承り申候此事ハ委
敷彼地の書物に相記し申候英吉利の船蘭船と
偽り日本長崎へ三度入津致し候得共三度ナカラ見
咎ラレ空敷帰帆致し候事彼地の書物に記し有之候
一米利幹書籍に北極星を始メ洋中航海ノメド星凡
百余有之候南極ト申ハメド星の中にも無之南洋中ニテ
モ見及ひ不申候都て南には土地無御座候間海気
強くして見へ不申候哉星ハ甚稀に御座候南アメリカ岬ヲ
廻り候時氷山の流れ来るを見申候大ナルハ四五里廻り程
有之候船ニアタラヌ様に乗申候
一東紅海ハ水色赤くハ無之海底の砂皆紅色に御座候間面