翻刻
又 韓人(こまひと)の著(あらは)せる書(しよ)には近歳(きんさい)始(はじめ)て倭国(わこく)に出(いづ)と説(と)き張氏(ちやうし)が書(しよ)には
朝鮮志(てうせんし)にはじめて見(み)つと載(のす)るを以(もつ)て考(かうがへ)ればこゝより朝鮮(こま)に伝(つた)へ
かれよりもろこしへはひろめしやうにも聞(きこ)ゆ又 明(みん)の末(すゑ)初(はじめ)て
西洋(にしのはて)なる人 其種(そのたね)を中国(からくに)に帯(お)び来(き)つるといへる説(せつ)もあれば
彼(かれ)より直(たゞち)に受伝(うけつた)へ又(また)彼(かれ)より我(わが)東方(みくに)に伝(つた)へし物(もの)又(また)西(にし)に転(てん)
じてこゝより朝鮮(こま)唐土(もろこし)へも伝(つた)へたるか和漢(わかん)大抵(おほよそ)其(その)時世(じせい)を
同(おなじ)うして都(すべ)て我国(わがくに)は唐土(もろこし)に先(さき)たてる歟(か)ともおもはる何(なに)にまれ
弐百余年来(にひやくよねんらい)の事(こと)なりたばこといへる名(な)は世界(せかい)のかぎり
何(いづ)れの地(ぢ)までも通称(おなじな)となりたれども伝来(でんらい)のはじめは
くさ〳〵の異名(いみやう)をよび延命草(えんめいさう)長命草(ちやうめいさう)の類(たぐひ)あるひは丹波粉(たんばこ)
吃煙古式(たばこをすふこしき)の図(づ)《割書:万治寛文の頃の物語にて|作り設(まう)けたる図(づ)なり》
《割書:雑話中に本文を|出す》
《割書:鍔(つば)をはづし|鼻紙(はなかみ)の上(うへ)に|置(をき)たる所(ところ)》
《割書:煙管(きせる)の吸口につばを|はめたるは畳(たゝみ)に吸|口のつかざるためなる|べしと或人いへり》
《割書:万治年|間印本》誹諧毛吹草に
呑ぬさへ
興あるはなの
たはこ哉
忠爺