翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

目さまし草 - 翻刻

目さまし草 - ページ 16

ページ: 16

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夫(それ)より其(その)世界(せかい)に伝(つた)へこれよりして東(ひがし)の方(かた)。あじあ。といへる世界(せかい)にも 伝(つた)へつひに其内(そのうち)に属(ぞく)せる東(ひがし)の又(また)ひんがしこの国(くに)ともろこしへも 伝(つた)はり数年(すねん)ならずして今(いま)は世界(せかい)のかぎり西(にし)に東(ひがし)に南北(みなみきた)のすみ〳〵迠(まで) にひろごり国(くに)の内地(だいち)はさらなりそれに属(ぞく)せる遠近(ゑんきん)大小(だいせう)の島々(しま〳〵)と いへどもこれを用(もち)ひざるものもなく名(な)は皆(みな)たばこと称(しよう)せりとぞ これぞ此もの伝来(でんらい)の的証(たゞしきあかし)なりける 扨(さて)おらんだ近(ちか)くの国々(くに〳〵)にても煙(けふり)を吹(ふき)て楽(たのし)みとなせる習(なら)はしは同(おな)じさま なれども漸(やうやく)に草(くさ)の性味(しやうあひ)を考(かうが)へ其(その)医書(いしよ)の中(なか)には内(うち)より服(ふく)し外(ほか)より 用(もち)ひて種々(くさ〳〵)の経験(しるし)を取(と)れる諸方法(みやうはう)どもおほし其(その)方法(しかた)或(あるひ)は青汁(あをしる)を しぼり取(と)り或(あるひ)は油(あぶら)をとり灰(はい)をとり或(あるひ)は塩精(しほ)を取(とり)て用(もち)ひ或(あるひ)は鼻煙(かぎたばこ) とて一味(いちみ)粗末(こな)となして鼻(はな)より嗅(かぎ)て頭脳(かしらのうち)なる病(やまひ)を除(のぞ)き又 諸方(くさ〳〵の) 剤(くすり)に配合(いれあは)せ諸病(しよびやう)に充(あて)て用(もち)ふるもの少(すく)なからず今(いま)これを知(し)れるは 此書(このしよ)編集(へんしふ)の功(こう)と新訳(しんやく)の成(な)りしとに因(よれ)るなり今(いま)始(はじ)めて薬功(やくこう) ある事(こと)もひらけて世(よ)に遍(あまね)く蔓延(ひろまり)常用(じやうよう)のものとなりし上(うへ)は又(また)別(べつ)に それ〳〵の製法(せいはう)を施(ほどこ)して医療(れうぢ)にも広(ひろ)く用(もち)ひたき事(こと)ぞかし    考証雑話(かうしようのざつわ) 此邦(このくに)に此物(このもの)の種(たね)を伝(つた)へしは慶長(けいちやう)十年 乙巳(きのとのみ)にして肥前(ひぜん)長崎(ながさき)桜(さくら)の 馬場(ばゝ)に始(はじめ)て植(うゑ)つけしといへり扨(さて)医官(いくわん)坂上池院の家(いへ)に慶長 年間(ねんかん)の 私記(しき)数巻(すくわん)ありて今(いま)に伝来(でんらい)す其慶長十二年の条(くだり)に云々(しか〳〵)此頃(このころ)た ばこといふものはやるこれは南蛮(なんばん)より渡(わた)るといふひろき葉(は)をきざみ