翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

目さまし草 - 翻刻

目さまし草 - ページ 18

ページ: 18

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書(しよ)どもを捜(さがし)て此名(このな)を索(もとめ)しにこれに似(に)たる語(ことば)なし和蘭人(おらんだじん)の用(もち)ふる 磁器(やきものゝ)の長管(ながらう)を名(な)つけて「たばこすぺいぷ」といふ其名(そのな)似(に)もつうず又いはゆる 南蛮(なんばん)と称(しよう)せる国々(くに〳〵)にてはぴいぱといふよし然(しか)れば昔(むかし)これを伝(つた)へし 頃(ころ)他(ほか)の蛮語(ばんご)を誤(あやま)り聞(きゝ)て此物(このもの)に転(てん)じ唱(とな)へ来(きた)れる事(こと)にもやあるらん又 大人(うし)後々(のち〳〵)に至(いた)り妄(みだり)に臆説(おくせつ)をなせるは和蘭語(おらんだことば)の転声(よこなまり)なる歟(か)といへる 考(かうがへ)なり然(しか)れども蘭船(おらんだふね)渡来(わたりき)しより以前(さき)の名(な)とおぼゆれば今さら此(こゝ)に 挙(あぐ)るにも及(およ)ばず又 大人(うし)さにはあらざる一証(ひとつのあかし)を得(え)たりとの給(たま)へり 一両年(いちりやうねん)已前(いぜん)一種(いつしゆ)長大(ちやうだい)の鉄煙管(てつきせる)を得給(えたま)ふこれは羽州(うしう)山形(やまかた)の豪(とめる) 民(ひと)某(それ)の家(いへ)に二百年ばかり伝(つた)へたる物(もの)なりとぞそれを見(み)るに其(その)鉄(てつ)の すぐれたる形状(かたち)実(げ)にもさる年来(ねんらい)の古色(こしよく)ありこは異国(いこく)伝来(でんらい)のものか 和製(わせい)の物(もの)か詳(つまびらか)にしりがたしことに二百年の前(さき)は煙管(きせる)未(いま)だあるまじ と常々(つね〳〵)思(おも)ひしにたがへば更(さら)に理会(あきらめ)がたし然(しか)れども此器(このうつは)今(いま)に存(そん)して世(よ)に 顕(あら)はるゝときは煙草(えんさう)伝(つた)へし初より其管(そのくだ)もすてにありし事(こと)にや扨(さて)此(この) 器(うつは)至(いたつ)て厚(あつ)く太(ふと)くして重(おも)く又(また)吸口(すひくち)の上(うへ)五寸ばかりの所(ところ)に鍔(つば)ありこれは 手(て)に握(にぎ)るかゝりにも似(に)たり今(いま)の世(よ)のごとく日夜(よるひる)煙(けふ)らする事(こと)ならんには 甚(はなはだ)不便(ふべん)のもなり若(も)し形(かたち)は煙管(きせる)なれども鉄棍(ぢつて)などの用(よう)をなす ものにやと思(おも)ひしに其後(そのゝち)右(みぎ)にいへる坂上池院 慶長私録(けいちやうしろく)の中(なか)に 亦(また)一証(ひとつのあかし)を得(え)たり 十四年 己酉(つちのゑとり)の条(くだり)に云《割書:文化十二年乙亥まで|二百七年なり》此頃(このころ)荊組(いばらくみ)皮袴組(かははかまくみ)とて徒者(いたづらもの) 京都(きやうと)に充満(じうまん)す五月中《振り仮名:搦_二取|からめとる》之(これを)_一 七十人 余(よ)なり行(おこなひ)_二篭者(ろうしやに)_一令(せしむ)_二糺明(きうめい)_一此者(このもの)