翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

目さまし草 - 翻刻

目さまし草 - ページ 24

ページ: 24

翻刻

あらずぶさほう千万(せんばん)なり若(も)し亭主(ていしゆう)頭役(かしらやく)か老人(らうじん)かおや方(かた)なれば たばこのめと有てもたべずとてのまず其頃(そのころ)かくれなきやつこと いはるゝ人も六ほう。うでだてがいをつくす人もいんぎんのざしき 又はおやかた老人(らうじん)の前(まへ)にてたばこのむ人なしたばこ入をもし取(とり) おとしても私(わたくし)のにては無_レ之といふてかくす事なりし其頃(そのころ)のたばこ 入はあるひは青(あを)しぶに紙をいため又 吹(ふ)き画(ゑ)墨流(すみなが)しなどしたる 随分(ずゐぶん)麁相(そさう)なるたばこ入なりしに今は金入(きんいり)の切(き)れ。どんす。しゆちん。 色々(いろ〳〵)のさらさ黒塗(くろぬり)高蒔絵(こうまきゑ)。梨地(なしぢ)などにして自慢(じまん)げに指出(さしいだ)す 夫(それ)故(ゆゑ)たばこ入 売(う)れる事(こと)夥(おびたゝ)し 近頃(ちかころ)輪池屋代氏(りんちやしろうぢ)より自(みづか)ら䕊菼小言(せんえんせうげん)と題(だい)せる写本(しやほん)一冊(いつさつ)を借(か)し 与(あた)へたり其(その)書中(しよちゆう)に説(と)く所(ところ)を見(み)れは延宝(えんはう)天和(てんわ)貞享(じやうきやう)の頃(ころ)の随筆(ずゐひつ) にて尽(こと〳〵)く流行(はやり)出(いだ)せし煙草(たばこ)を憎(にく)める諸説(しよせつ)なり堅(かた)くこれを廃(はい)す べきの憤激(いきどほり)の雑論(ものがたり)数十葉(かづ〳〵のかみ)に綴(つゞ)り成(な)せるものなりこれは 是迠(これまで)なくてすみし品(しな)のひろまりて云々(しか〳〵)且(かつ)始(はじめ)てのみ習(なら)ふ人 又(また) 其性(そのしやう)にあはざるものゝ酔(ゑ)ひ仆(たほ)れしなどを見(み)て甚(はなは)だにくみ 遠(とほ)ざけしなり 又 南畝太田氏(なんほおほたうぢ)の蔵書(ざうしよ)印本(はんほん)愛煙草詩歌(あいえんさうしいか)と題(だい)せる一書(いつしよ)を見(み) るに元禄(げんろく)四年 宮本氏(みやもとうぢ)某(それ)の撰(えらみ)なり前書(ぜんしよ)に反(はん)して煙草は閑居(かんきよ) 茅窓(ぼうそう)に伴(ともな)ひ風雅(ふうが)の遊情(いうじやう)をたすくるものとてこれを愛翫(あいくわん)し 自(みづか)ら楽(たのし)める詩歌(しいか)なり何(なに)としてかく愛憎(このみにくむ)の相反(あいはん)するか其(その)好(この)める